2019 Fiscal Year Annual Research Report
戦前・戦後における文化運動に関する民間アーカイブズの活用促進方法の研究
Project/Area Number |
19H00019
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Research Institution | 埼玉県立文書館 |
Principal Investigator |
佐藤 美弥 埼玉県立文書館, 学芸員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | アーカイブズ / 文化財活用 / 戦後史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまでの研究のなかで重要性が明らかになった、1923(大正12)年の関東大震災直後に結成された建築家グループである創宇社建築会に参加した竹村新太郎に関するアーカイブズ(竹村新太郎関係資料)を対象に、戦前・戦後期における建築家による文化運動に関する調査を進めるとともに、近年社会状況の変化によって散逸などの問題が浮上している民間アーカイブズの保存・活用を促進する方法を検討・開発し、実践することである。 この目的を達成するため、本研究では、地域の建築家団体との連携・協議を踏まえて、(1)アーカイブズの調査・分析、(2)アーカイブズの活用を促進するための資料目録の精緻化、(3)アーカイブズに対する理解を深めるための方法の検討・開発・実践を実施した。 (1)については、従来進めてきた戦前・戦後の建築家による文化運動についての調査を深化させるため、竹村新太郎関係資料と深い関連をもつ資料を有する西山夘三記念・すまい・まちづくり文庫のほか、京都大学人文科学研究所や函館市中央図書館などで資料調査・収集を実施した。また、戦前の運動に関わった建築家の子孫や、戦後の運動を知る当事者のインタビュー調査を実施した。これらの成果は、雑誌論文や学会発表等で発表した。 (2)については、2019(令和元)年5月から2020(令和2)年2月まで、4回にわたり、目録作成の作業を進めた。また、データロガーを用いた温湿度の測定などにより、資料の保存環境について検討した。 (3)については、原資料の保存に配慮しながら活用・広報する方法として、展示パネルを作成した。地域の建築家団体と協議しながら、アーカイブズの特徴をよく示す代表的な資料の画像を構成し、合わせて資料群の成立ちや現在まで継承されてきた経緯を解説する内容とした。B2判で容易に持ち運べるものにし、学会発表・講演に合わせて展示を実施した。
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