2019 Fiscal Year Annual Research Report
オーセンティック多文化実践活動の構築と多文化適応力の促進に関する研究
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19H00053
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Principal Investigator |
猪口 綾奈 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 多文化理解 / 異文化コミュニケーション / 協働活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、持続的な多文化適応力を促進するため、オーセンティシティ(真正性・本物性)を追求した多文化実践活動の構築・実施と、それによって生じる意識変容の科学的検証を行うことである。オーセンティックな多文化実践活動とは、現実の身の回りの出来事をテーマとし、それを他人事ではなく自己の問題として捉えながら、多国籍のグループで問題解決を探る活動である。活動は継続的に行い、より現実世界に近いコミュニケーション(オーセンティシティ)の実現を目指す。オーセンティシティを強化し、現実的な相互コミュニケーションの継続的な実現を可能にすることによって、新たな文化的価値観や行動的枠組みの再構築、つまり多文化適応力をより効果的に促進することを目的とする。 具体的な研究方法について、まず、日本人大学生および社会人と、日本在住外国人および留学生との協働活動を実施した。活動内容は、本研究のテーマの一つである「世界で起きている現実の身の回りの問題点をテーマにし、それらを他人事ではなく自己の問題として捉える」という観点から、SDGsの考えを基礎に置いた。そして、チームに対して問題提起を行い各自が解決法を議論し考案するという問題解決型方式を取った。問題テーマは移民問題などの社会分野から食文化などの文化分野など多岐に渡る。最後に、参加者の意識の変化について、参加者の能動性や自己肯定感、教師やファシリテーターに対する期待値などの観点からアンケートと分析を行った。 分析の結果、参加者の動機や問題意識の向上が観察できた。そして、アンケートでは教師やファシリテーターに対する期待値にも着目しているが、これにより、将来的に参加者の期待値を測る尺度を作成することが可能となり、より有効な協働活動実施への手助けとなった。
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