2019 Fiscal Year Annual Research Report
防災教育に関するPCKの獲得・発達を理科教育から支援する教師教育プログラムの開発
Project/Area Number |
19H00062
|
Principal Investigator |
田中 達也 神戸大学, 付属小学校, 教諭
|
Project Period (FY) |
2019
|
Keywords | Pedagogical Content Knowledge / 防災教育 / 教師教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
1研究の目的 本研究では, 防災教育における教師のPCKの獲得・発達を, 理科教育の充実(CK)と防災カリキュラム作成(PK)によって実現するための新たな教師教育プログラムの開発である。 2開発された教師教育プログラムの実際 対象単元は, 第4学年「雨水の行方と地面の様子」であった。授業準備段階では, ①防災カリキュラム研修を行い, 理科からのアプローチの可能性についてのワークショップを行った。次に②教授方略研修において, 授業ビデオ視聴や単元試案を含むアーギュメント講習会を行い, 授業デザイン力の向上を図った。これらの研修を基に③防災の観点を含む対象授業の単元構成や本時の展開について児童の科学的な思考の深まりを中心に検討を行った。 授業実施段階では, ④理科授業実践において見出した教師の手立て, 及び⑤児童の科学的な思考の深まりの中に防災の観点は十分に含まれているのかを特定し, 教師の児童の学びへの支援が適切であったか議論を行った。その後⑥既存の防災指導カリキュラムに理科学習の内容とリンクする単元を踏まえ, 次年度用カリキュラムの作成に取り組んだ。 3評価の方法 防災教育に関するPCKの獲得・発達への質問紙調査を行った。得点付与は4点を高得点, 1点を低得点とした4段階評価とし, 対象者自身が行った。 4研究の成果 「防災教育の指導に理科は役に立つ」については, 全員が4点であった。理科の学習内容, 特に地学分野が災害発生メカニズムと関係していることに意識しやすいことが考えられる。また「理科の学習内容から防災カリキュラムをつくること」に関しても全員が4点であった。単元検討から参画したため, 対象者自身がCK, PKが相互に作用しあったPCKを自覚的に働かすことができたと考えられる。 以上の結果より, 本研究で開発・実施した教師教育プログラムは, 現職教員の防災PCKの獲得・発達を十分に支援することができると言える。
|