2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00065
|
Principal Investigator |
南澤 武蔵 東京大学, 教育学部附属中等教育学校, 教諭
|
Project Period (FY) |
2019
|
Keywords | 大学の教育研究資源 / エジプト西方デルタ / 高校世界史B |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 本研究は、高校世界史における高大連携の在り方を模索したものである。具体的には「地中海世界」の単元に関連して、エジプトの西デルタにある古代の町の発掘調査または遺跡の踏査を高校世界史の教材として扱った。教材化においては、考古学的な研究の最前線にあたる遺跡調査を実施している調査隊(エジプト西方デルタ調査隊、代表 : 早稲田大学総合研究機構客員教授 長谷川奏氏)に協力を得て、授業に有用な資料の収集を現地での踏査を含めて行った。その上で、大学の研究機関が行う研究活動で得られた教育研究資源をどのような形や構成で高校世界史の授業教材として生徒に提示することが有用であるのかを明らかにすることを目的とした。 ○研究方法 1. エジプトを中心とした地中海世界に関する資料を収集する。 2. エジプト現地での踏査に関連した遺跡などの情報を収集し、調査内容を定める。 3. 現地にて遺跡の踏査および博物館を見学し、画像・動画等で記録を行い、資料とする。 4. 現地で収集した資料を教材として高校世界史Bの授業を構築し、実践する。 5. 生徒の成果物・アンケートから教材としての有用性を検討する。 ○研究成果 エジプト西方デルタ調査隊からの協力を得て、エジプト現地で「地中海世界」を考えるために必要な資料を収集することができた。そして、現在調査隊が調査を進めているコーム・アル=ディバーゥ遺跡を通して、さまざまな資料を用いながらエジプトと地中海世界のつながりを生徒自身が考えて発表する授業を展開した。とくに、現地での踏査で得られたナイル川上流とは異なる地中海に近いデルタ地域における遺跡の形成に関する資料が生徒の考察を深めることに有益であった。また、実践の結果、生徒の発表やアンケートからも大学の研究教育資源を活用したことで「閉ざされた」エジプトのイメージから地中海世界に「開かれた」エジプトとして考えを広げていったことを確認できた。
|
Research Products
(1 results)