2019 Fiscal Year Annual Research Report
社会科における「リーディングスキルテスト(RST)」の開発
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19H00074
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Principal Investigator |
小野 智史 香川大学, 教育学部附属高松中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 社会科版RST / イメージ同定 / 読解力と社会科学力の相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究目的 本研究は国立情報学研究所が発案した「RST」の社会科版テストの開発を目的とした。 2 研究方法 過去5年分の試験問題および5年間分の学習の診断(香川県進路指導研究部提供)の中から, 「イメージ同定」「具体例同定(辞書)」を分類する。そして社会科特有の問題を分類, 整理し, 社会科独自の読解力(読図力等資料の読み取りも含む)や思考力を図る問題を作る。 3 研究成果 ・香川県内で行われた平成26年度から平成30年度までの5年間分の「学習の診断 社会科」全1565問を分析 ・全1565問中58%にあたる903問が社会科独自の知識を問う問題であった。言い換えれば社会科で学習する知識を覚え, 再生すれば解ける問題であった。 ・この傾向は特に歴史的分野で突出しており, その割合は74%に上った。 ・RST型の問題の中ではイメージ同定の問題が比較的多く, 全体の20%, 次いで推論の問題が6%となった。特に地理的分野の問題にRST型の問題が多く, それぞれ32%, 7%であった。 ・RST型の問題の中では, 具体例同定の問題は極端に少なく, 客観テストを意識した場合, 採点の難しさから具体例同定の問題は設定しにくい現状が浮かび上がった。 ・公立中学校1~3年生と附属中学校1・2年生にイメージ同定の典型的な問題(RST提供の問題)を実施したところ, 前者は28.1%の正答率で, 後者は59.9%の正答率であった。 ・上記のイメージ同定の問題は社会科地理的分野の問題に出題が多く, その問題の正答率の低さを裏付けるものであった。資料を見て, その資料の説明として正しいものを4択で答えるような問題に, 生徒はリーディングスキルが低いがために苦戦している状況が浮き彫りになった。 ・社会科のテストを受ける前に学力がある程度規定されてしまっている現状をあらためて把握できた。
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