2019 Fiscal Year Annual Research Report
数学的感覚を重視した中学校数学科授業の開発研究~データの活用を題材として~
Project/Area Number |
19H00114
|
Principal Investigator |
岩知道 秀樹 広島大学, 附属福山中学校, 教諭
|
Project Period (FY) |
2019
|
Keywords | 数学的感覚 / 自由記述 / データの分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 数学科で育成されるべき考え方・思考法という視点から中学校における授業を再考し, 新たな授業のあり方を提示し, それに準ずる授業開発を行うことを目的とする。その中でも, データの活用における生徒め思考の傾向を捉え, 証明の授業開発への示唆を与えることを主目的として遂行する。 これまでの奨励研究(17H00146, 18H00091)では, 作図で現れる中学生の感覚的操作が論理を伴った操作や記述につながりにくい, 数学的感覚を論理につなげることが困難であることを指摘している。そこで本研究では, 中学生の学習を終了した高校生が, どのような数学的感覚を持ち, 中学校との学習や内容に対してどのように捉えているかを調査し, 不足部分を明らかにすることで, 中学校の授業開発への示唆を与えることをねらいとして研究を進めた。また学習にあわせて継続的に, 数学に関する考えを自由記述させた。その結果2点が明らかになった。1点目は, 日常の経験から来る感覚が数学の授業における感覚に影響していることである。特にデータを分析の内容ではこの傾向が顕著であり, 自由に考えを記述させると対象者の経験や日常が大きく影響をしているようである。2点目は, 高等学校の生徒にとって, 中学校における数学との違いの感じ方が個々人で大きく異なることである。中学校の段階である程度の得意・不得意があるものの, 特に不得意である生徒ほど, 不得意である理由が感覚的であることが指摘できる。両者ともに数学学習を進めていく上で, 生徒の関心・意欲, そして数学で身につけるべき思考法の習得に大きな影響を及ぼすものと考えられ, この改善に早急に取り組まなければならない。特に, 2点目の不得意な生徒の感覚的な不得意さを明示化することができれば, 中学校での授業開発に大きな示唆を与えられると考える。ここで得られた課題に対する考察は, 今後行っていきたい。
|