2019 Fiscal Year Annual Research Report
幼小一貫した資質・能力を育成する「育ちの履歴カリキュラム」に関わる研究
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19H00131
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Principal Investigator |
松田 登紀 奈良女子大学, 附属幼稚園, 教諭
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 幼児教育 / カリキュラムデザイン / 資質・能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 本研究では、幼小一貫した実践から「育成したい資質・能力」を描き出す3歳~5歳の「育ちの履歴カリキュラム」を編成するにあたり、写真を用いてデザインすることにより、教師の意図や願いが視覚的に読み取れるよう「育ちの履歴カリキュラム」デザイン開発を行うことを目的とした。 ○研究方法 中期的スパンで保育実践を振り返る中で、これまで無自覚で明示化してこなかった「育成したい資質・能力」の育ちが現れている子どもの姿や育ちを支えた環境構成および教師の援助等を、研究協力者との対話により言語化し、「育ちの履歴カリキュラム」として編成し、写真を用いてデザインする。 ○研究成果 カリキュラムをデザインする過程において、以下の成果が見られた。①記録として撮影した実践写真の中に、無自覚であった資質・能力の観点を再発見することになり、実践でより資質・能力を意識するきっかけとなった。②実践写真を基に研究協力者と対話をすることにより、自らの保育観やまなざしの癖を自覚することにつながった。③写真を情報共有の手立てとして用いる際には、教師の経験知により似通った遊びを自分の経験を通して理解していることを踏まえておく必要性が明らかになった。④「写真」では撮影前の思考を表現するのは難しく、写真を公開した時から見る側の経験に理解を委ねる特性をもつことが明らかになった。⑤課題として、本来長期的スパンで捉えている育ちや学びを、一瞬で切り取った写真で他者と共有可能なのか、また「写真」という媒体は、保育実践を言語化した文章よりも情報量が多く、一見保育が可視化されたような錯覚に陥るのだが、実際には撮影する側・読み取る側の教育観や意図、経験知により解釈がかなり異なり、結果的にカリキュラムへの共通理解を阻むのではないか、という二点を残した。 なお本研究成果は、奈良女子大学附属幼稚園幼年教育研究会紀要第32集「教育課程」「指導計画」としてまとめた。
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Research Products
(9 results)