Outline of Annual Research Achievements |
[目的]本研究では、特別な配慮(不適応、障害学生, 未診断含む, 以下配慮学生)を要する学生を対象に, 高等専門スキルや資質・特性にあった就労と継続を目的とした就労支援を試みた。 [方法]研究(1)A大学において, 先行研究と同様の学内体制整備とピアサポートグループを創出した。研究(2)B大学の就労継続支援として, 先行研究参加学生で現状把握が可能な14名(2名在学中)を対象に就労状況をインタビューした結果, 12名中11名が就労を継続, 1名が新規就職, 就職活動変化スケールは7.14/8ポイント, 就職学生の約9割が2年継続, 約半数が希望職種に就職した。研究(3)就職後2年継続中のお話会参加者10名のインタビューとアンケートから, 卒業時から変化した点, 就労の経過からの気づきや不安の言葉による表現が増加, 感情では喜びが増加し, ピアサポートのポジティブな相互作用の継続が伺えた。 [成果]継続研究の結果, 2年後の定着の高さが窺えた。要因として, (1)ピアサポートによる就労支援グループの卒業・就職後の継続により, 個々の現状や資質を生かす進路選択が可能となること, (2)配慮学生の就労には, 学内支援者と就労支援事業所・企業等の産学福連携により, 在学中からの移行支援体制がスムーズな就労に繋がること, (3)就労への繋ぎ, 自分の特性を活かした就労先の選択, 就職後のフォーローアップが, 就労の継続・定着に繋がることが示唆された。 [意義]「就職において各大学等が取り組むべき課題」(文部科学省, 2018)に掲げる, ①障害特性・職業適性に即した支援, ②就労形態や配慮の情報提供, ③学内・学外の連携強化, 「発達障害のある学生の就労における課題」(青木, 2018)として, ①継続して働くことを見据えた就職とキャリアプランの構築, ②グレーゾーンの学生への対応等, 具体的な課題がここ数年で明示され, 本研究は配慮学生の就労・継続支援を先んじて実践し, モデルケースを示した点に意義がある。
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