2019 Fiscal Year Annual Research Report
同調効果の促進を目的とした開発型モノづくりによる未熟練学生への安全教育
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19H00159
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Principal Investigator |
松岡 武史 金沢大学, 総合技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 安全教育 / ヒヤリハット / 少人数影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の労働災害は減少傾向にあるものの, 若年層や未熟練者の被災割合は増加傾向にあり, 特に製造業においてその傾向が顕著である. そのため教育機関において, 若年者である学生に対して実践的な安全衛生教育が求められている(2013 : 中央労働災害防止協会). 本校では学生のモノづくりが極めて盛んであり, 在学中の安全衛生教育の必要性からも直近の課題として極めて重要な課題である. 平成26年度より安全衛生教育手法の開発を行ってきた. 入学直後でモノづくり経験がほとんどない初心者学生の一部に対して, 正課授業とは別に安全教育及び実技講習を行った. 安全意識を高めた学生グループが, 正課授業や卒業研究などにおいて少人数ではあるが「お手本」として存在することで安全衛生教育を行っていない一般学生の安全意識も同調して向上させ, 工場全体での事故発生件数を減少させることができた. (この同調による効果は心理学等でマイノリティ・インフルエンス(少人数影響)と呼ばれる.) しかしながら, 一般学生は安全意識の高い学生と共同で作業することは正課授業のみであり, カリキュラムに定められた作業を行うためコミュニケーションもほとんどなく, 同調行動は限定的であったと考えられる. そこで, 自分たちでアイディア出しから運用まで行う開発型モノづくりを協働することで少人数グループと一般学生間に継続的なコミュニケーションが生まれ, 同調行動を促進することができるのではないかと考えたことが本テーマの申請に至った経緯である. 本研究では安全意識の向上をアンケートにより数値化することで効果を可視化することができた, 今後はより同調効果の高い手法を模索し, 汎用的な教育手法を構築していきたい.
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