2019 Fiscal Year Annual Research Report
IoTを最大限活用した、学生のための全国横断仮想スマートグリッド実験システムの構築
Project/Area Number |
19H00219
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Principal Investigator |
屋並 陽仁 久留米工業高等専門学校, 教育研究支援センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 工学教育 / 遠隔授業 / IoT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遠隔授業等に代表される教育の情報化が推進されていることを念頭に、既存の実験カリキュラムを電子化するに留まらない、新たな実験実習の形態を提案することを目的として実施した。 本研究ではIoT技術を活用し、卓上に設置可能な可搬式超小型風力発電装置を備えた遠隔授業対応の工学実験装置を開発した。本装置は別途の機器や操作を必要とせずインターネット経由で自動的に実験状況を共有する機能を備えた。これにより、インターネットに接続された全装置の実験データを任意の情報端末から分析することが可能となった。また本装置では、風力発電技術が備える種々の工学的要素を起点として、電気・電子・機械・制御など幅広い分野に関する学生実験を実施可能となった。 本研究成果により、遠隔地の教育現場や在宅学習中の家庭など各地をリアルタイムに結び、工学に関する専門的な学生実験を新しい形態で共同実施することが可能となった。 本研究成果の利用により、実験現場で通常同席し得ない遠隔地同士の教職員や学生が共同で実験に取り組むこととなるため、各校の環境差の検証や学生同士のディスカッション等も含めて活用することで、実験を情報化することによる新たな教育効果が期待できる。幅広い工学分野を統合した実験範囲設定により、学習者は複数の技術領域を俯瞰しながら実験を進めることとなるため、分野横断型人材の育成効果も期待できる。 また現在、感染症の流行に伴う教育機会の減少と内容の限定が社会問題化し、工学教育の現場においても実験実習が実施できない状況が継続している。実験装置の自宅配布などを含めて本研究成果を利用することにより、遠隔授業環境下においても学習者に工学的な実体験を提供することが可能となるため、教職員のテレワークや学生の遠隔受講が推進されるウィズコロナ社会においても教育機会と質の確保への貢献が期待できる。
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