2019 Fiscal Year Annual Research Report
物質材料系教育研究支援のための磁場中水素化装置の開発
Project/Area Number |
19H00226
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Principal Investigator |
尾上 昌平 国立大学法人鹿児島大学, 研究推進機構研究支援センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 水素化 / 気相-固相反応 / 磁場効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これからの水素社会の学術的発展に、物質材料系学生の水素化材料研究の支援は重要である。一方、学生らが安全に水素化、脱水素化を行うためには、高圧ガスボンベを用いた水素化装置は用いられない。これを克服するため、本研究では理科教材用市販水素吸蔵合金容器を用いた磁場中水素化装置を作製すること、強磁性材料を用いて水素吸蔵放出の磁場効果を明らかにするとともに、材料系学生の教育研究への利用を図ることを目的とした。 研究期間の前半は、17H00289で作製した磁場中窒化装置に水素吸蔵合金を取り付けて、強磁性材料Sm_2Fe_<17>に対して水素化熱処理を行った。Sm_2Fe_<17>H_xは、熱処理温度250℃近傍で最大x=3まで水素を吸収するため、熱処理温度223~250℃、水素ガス圧力0.1MPaの条件で合成が行われた。熱処理時間24時間のとき、X≃3の試料合成に成功し、学生が安全に水素化実験を行える環境が整備された。 磁場中水素化実験は、磁場0.5Tで行われ、試料の水素量は、合成前後の質量差から求められた。試料に対してXRD、リートベルト解析が行われ、格子定数、各相の質量分率をゼロ磁場中熱処理試料と比較して評価された。ゼロ磁場と磁場0.5T試料の間に、格子定数の差は明確に見出されなかったが、析出したFeの質量分率は、磁場0.5Tでゼロ磁場より増加する傾向が示された。本研究で得られた磁場効果は、ゼーマンエネルギーの利得が得られる、より強磁場な環境において顕著に示されることが期待されるため、今後、本装置を用いて研究を進展させる。 本装置は、水素化実験だけでなく、バルブ一つでガス雰囲気を変化させ、窒化、酸化等、様々な気相-固相反応熱処理が行える装置となった。その結果、材料系学生の教育研究への利用が増加した。
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