2019 Fiscal Year Annual Research Report
Ethernet接続可能な速い・安い・簡単なFADC基板の開発
Project/Area Number |
19H00228
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Principal Investigator |
鈴木 貴士 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 技術一般職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 電子回路設計 / 放射線測定 / OrCAD |
Outline of Annual Research Achievements |
福島原子力発電所の事故の影響により、放射線災害などの社会問題に対応して大学研究においても放射線測定に関する実験が急増している。放射線測定の分野では、歴史的な経緯からCAMACやVME規格の電子回路を使用することが多い。しかし、それらは高価な専用のクレート電源や専用の読み出しモジュールなどが必要であり、新規導入や維持管理のハードルが高い。そこで、本研究はニュートリノ検出器であるKamLAND用に開発された最先端電子回路MoGURAを参考にして、放射線測定へ速く・安く・簡単に使える電子回路を開発し、放射線測定に関する大学研究を幅広くサポートすることを目的とする。 電子回路設計は回路図設計ソフトのOrCADを使用しておこなった。回路基板には入力信号のデータ処理を司るFPGAデバイスや処理速度向上のためのFADCデバイスを組み込んだ。FPGAプログラミングには、Xilinx社製のFPGA開発環境ソフトウェアVIVADOを使用した。VME規格の6Uサイズの基板で、4CHの入力を持ち、それぞれの入力は0.1mV分解能の8bitで1GHzのFADCと、0.15mV分解能の16bitで250MHzのFADCに対応する2ゲインに分けられる。これにより、より広範囲の入力データ信号を処理可能である。その他、広く一般に購入できるACアダプタ電源を利用して電子回路へ電源供給可能にした。また、通信規格については現在主流であるEthernet通信を導入することで保守をおこないやすくした。さらに電子回路からのデータ転送先であるコンピュータとの接続を容易にした。 本研究での電子回路基板製作により、非常に高価で新規導入や維持管理のハードルが高いVMEなどの専用規格に頼らずに実験データ収集が可能になった。
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