2019 Fiscal Year Annual Research Report
顕微ラマン分光分析に用いる微小領域の温度制御測定法の改良
Project/Area Number |
19H00244
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Principal Investigator |
根本 真奈 東北大学, 工学研究科, 教育研究支援系技術一般職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 温度制御 / 顕微ラマン分光分析 / in-situ測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、顕微ラマン分光分析用のサーモグラフィカメラ及び温度制御システムの改良を図り、より詳細に微小領域の温度変化を観測することを目的とした。 サーモグラフィカメラは小型で高解像度(320×240pixel)のものに変更した。温度制御システムは、ペルチェ素子の放熱方法を水冷に変更し、温度制御範囲を-10℃~+120℃とした。次に、測定試料全体の温度が均一となるように密閉できる試料室(185×110×55mm)を作製した。試料室のカバーの上面には、石英ガラスを取り付けガラス窓越しの測定を可能にした。 温度制御システムのペルチェ素子の放熱方法を水冷にしたことで、試料台温度を-10℃まで冷却することが可能になった。本システムを用いて、水を-10℃~60℃まで10℃ずつ温度を変化させ測定を行った結果、-10℃の時のピーク波数は3200cm^<-1>、60℃の時は3214cm^<-1>となり、温度の変化とともにピークが高波数側にシフトすることが確認された。また、接着剤の主成分であるシアノアクリレートを室温(18℃)と35℃に加熱した状態で1分おきに80分間連続測定し観測を行った結果、室温では約50分後からC=C結合のピーク(1615cm^<-1>付近)が減少し、35℃に加熱した場合は約3分後にはC=C結合のピークの減少が確認された。シアノアクリレートは硬化するにつれてC=C結合のピークが減少することから、温度制御による硬化速度の時間変化を観測することができた。 本研究で作成した温度制御システムにより、試料温度をコントロールしたin-situ測定が可能となり、測定条件の拡張を達成することができた。今後は、多様な試料(グラファイト等の炭素材料、炭化ケイ素(SiC)等の半導体材料、タンパク質等の生体試料など)について温度制御化でin-situ測定を行い、測定結果のデータベース構築を進める予定である。
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