2019 Fiscal Year Annual Research Report
バガスを用いた砂地盤の液状化抑制効果に関する実験的検討
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19H00258
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Principal Investigator |
廣瀨 孝三郎 国立大学法人琉球大学, 工学部 技術部, 技術職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | バガス繊維 / バガス繊維の微細孔 / 液状化抑制効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バガスを地盤改良材に適用した砂地盤モデル(以下、混合試料)を用いた振動実験を実施することで、繰り返し外乱が混合試料の振動挙動および液状化挙動に与える影響を明らかにすることを試みた。バガスは製糖工業副産物として年間約20万トン近く発生するが、その大半は製糖工業の燃料として処理されている。しかしながら、バガス繊維構造は極めて強固であり、高いせん断抵抗力を生み出す可能性があることから新たな地盤改良材として砂地盤に適用できる可能性がある。そこで本研究では、混合試料を用いた振動実験を行い、バガス繊維が砂地盤に与える液状化抑制効果について研究を行った。 混合試料の一面せん断試験の結果より、砂のみの場合と比較してバガス繊維の含有量に応じて粘着性能が向上し、せん断耐荷力が強化される可能性が示唆された。また、振動実験より砂のみでの振動実験では、液状化発生に伴う噴水・噴砂が大量に発生したが、混合試料については発生が見られなかった。このことから、バガス繊維が噴砂の抑制効果を果たしている可能性が示唆された。一方、過剰間隙水圧に着目した場合、砂のみの場合は非常に高い過剰間隙水圧が発生し液状化が発生したが、混合試料は間隙水圧が上昇するものの、砂のみの場合よりも小さい過剰間隙水圧で一定値に推移する傾向がみられた。この結果から、液状化抑制効果は砂地盤の過剰間隙水圧の低減化によることが明らかとなった。また、振動後の沈下量を計測した結果、砂のみでは沈下が発生したものの、混合試料では発生しなかった。このことから、地盤地下に関してもバガス繊維によって抑制できる可能性が示唆された。以上の結果を踏まえ、SEM観察を行った結果、バガス繊維と砂粒子が絡み合っていることや砂粒子間をバガス繊維が埋めていることが観察された。このことから、砂粒子間にあるバガス繊維が負のダイレタンシーによって発生する過剰間隙水圧を開放することで、沈下を抑制した可能性が見出された。さらに、バガス繊維には無数の微細孔が存在しており、この微細孔に地中水がトラップされ、結果的に過剰間隙水圧の上昇が抑制された可能性が示唆された。以上のように、混合試料が液状化現象に有効である可能性が本研究により示唆された。しかし、バガス繊維の腐食性や持続性、寸法効果など未検討事項が多くあるため、今後の継続実験が必要である。
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Research Products
(1 results)