2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00286
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Principal Investigator |
相田 泰子 東京医科大学, 医学部, 助手
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | メタボロミクス / 微量代謝物 / LC-TOF/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
《研究目的》 メタボロミクスは代謝物を網羅的に測定する技術であり、「今現在の生体内の状態」を把握するのに最適な方法である。生体には未だ同定されていない微量の生理機能を担う分子や、様々な生理状態を反映する分子が数多くある。そこで、種々の検体に合った前処理方法を開発し、検体ごとにできるだけ多く微量な代謝物の定量値を再現性良く分析する方法を確立することを大きな目標として、本研究では検体の種類による前処理方法と、対象とする代謝物に適した分析方法の確立を目指す。 《研究方法》 これまでの研究により確立している分析条件で、すでに定量できているイオン性代謝物質はヒトの血液で103物質、唾液で102物質である。まずは、血液、唾液の前処理方法(分子構造に基づく溶媒との相溶性を考慮した抽出効率の向上、夾雑物の選択的な除去)を検討し、150物質の代謝物の測定・定量を可能にすることを目指す。測定には液体クロマトグラフー飛行時間型質量分析計(LC-TOF/MS)を用いる。次の段階として、LC-TOF/MSの分離条件と検出器のパラメーターを網羅性の担保を前提とした上で代謝物にあわせて最適化し、定量可能代謝物数200物質以上を達成することを目指す。 《研究成果》 唾液検体、血液検体を用いて前処理方法の検討を行ったが、検出される物質数に大きな変化は見られなかった。そこで、前処理方法の検討をいったん中止し、分析条件の検討を行うこととした。この新しい分析条件を用いて標準物質を測定した結果、従来用いていた分析条件で測定するよりも7物質多くの代謝物を検出することができた。この分析条件を用いて唾液検体と血液検体を測定した結果、唾液検体においては96物質、血液検体において87物質の代謝物を検出できた。これらの結果は、検出できていなかった物質を含んでいた。今後、尿検体においてもこれらの前処理方法と分析条件を用いて測定を行い、測定方法の確立を目指す。
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