2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00315
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Principal Investigator |
冨山 晋一 東海大学, 海洋学部博物館, 博物館学芸員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 駿河湾 / 魚類相 / 社会教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
豊かな自然は、持続可能な社会の形成基盤として重要である。その自然に対する人々の関心を高めるために自然史系博物館が魅力ある研究を行い、社会教育活動を通じて成果を発信していくことには意義がある。そこで、本研究では駿河湾において魚類相を調査すると共に、その種多様性に関して東海大学海洋科学博物館の来館者に紹介することを目的とした。 魚類相の調査は標本の収集と分析、海洋科学博物館の既存標本の分析および文献調査により行い、明らかとなった出現種をリスト化した。標本はスクーバ潜水や刺網漁船の傭船等による自家採集のほか、定置網漁やカゴ漁等への便乗によって収集し、種同定の後、全て海洋科学博物館に登録(MSM)した。また、各種の特徴となる生鮮時の色彩を、デジタルカメラで記録した。来館者に対する駿河湾産魚類相の紹介は主に飼育水槽での常設展示により行い、生体は標本収集時に入手した。ただし、生体展示が難しい場合は標本展示も行った。 本研究の結果、約300標本を海洋科学博物館に登録し、ほぼ全ての個体の色彩を記録した。これまでにリスト化した駿河湾産魚類は1500種を超えるが、今回の調査では本湾未記録の6科7種が新たに発見された。また、過去の文献で証拠標本が無いまたは所在が示されないまま報告されていた5科5種の標本を入手した。以上のように、本研究では駿河湾産魚類相に関する新規知見を充実し、既往知見の信頼性を一部確保することができた。上記に加え、本研究で得た全ての標本は駿河湾産魚類相の確かな記録として保存され、研究者からの求めに応じて自然史研究に供することで、将来の自然科学の発展にも寄与する。展示に関しては、海洋科学博物館の「駿河湾の生き物」コーナーに適時生体を搬入し、各種に解説を付して紹介した。また、劣化した展示標本の入れ替えや、ケースの新調などにより、分かりやすく見ごたえのある内容へと変更した。
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