2019 Fiscal Year Annual Research Report
参照配列がない生物種で使える迅速な遺伝子マッピング法Map-based QTL-seqの開発
Project/Area Number |
19H00325
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Principal Investigator |
太田 敦士 京都大学, 農学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 連鎖地図 / QTL-seq / 野生種 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 近年、バルクシーケンスによる遺伝子マッピング手法QTL-seqが開発されてきた。この手法は、各SNPの位置情報が得られる参照配列をもつ生物種で利用できる。一方で、参照配列がない生物種では、ゲノムワイドSNPsを得ても、それらの位置情報を取得できないため、上述のQTL-seqをおこなえない。そこで本研究では、参照配列がない生物種でも利用できる迅速な遺伝子マッピング手法の確立を目指して、連鎖地図をベースにしたQTL-seq(Map-based QTL-seq)を開発した。 【連鎖地図とQTL解析】 コムギ近縁野生種Aegilops bicornisの交配F_2集団302個体を用いた。まず、穂の形質(穂長、小穂数、穂密度、芒長)を測定した。次に、80個体のGRAS-DiによりゲノムワイドSNPsを得て、OneMapを用いて連鎖地図(7連鎖群、全長882.5cM)を作成した。各マーカー配列をコムギゲノムにBLAST検索し、各連鎖群の染色体番号を推定した。さらに、R/QTLを用いて各形質のQTL解析をしたところ、第3、6染色体に穂密度のQTLが検出された。芒長のQTLは第5染色体に検出された。しかし、他の形質のQTLは見つからなかった。 【Map-based QTL-seq】 形質値の分布の両端10%に相当する個体のバルクシーケンスを使って、QTL-seqをおこなった。この際、各SNPの位置情報として連鎖地図を用いた。さらに、各SNP上のリード数情報からアリル頻度を算出した。極端なアリル頻度を示すゲノム領域(原因遺伝子座)は、穂密度と芒長の両方とも、QTL解析と同じ染色体に見つかった。加えて、穂密度については、第7染色体にも原因遺伝子座が見つかった。これらの結果から、開発したMap-based QTL-seqは、低コストに遺伝子マッピングする手法として十分に有用であろう。
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