2019 Fiscal Year Annual Research Report
代謝物血中濃度に着目したアプレピタント臨床効果予測マーカーの探索
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19H00379
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Principal Investigator |
鈴木 祐介 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | アプレピタント / CINV / 制吐剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
アプレピタントは、NK1受容体を阻害することで効果を発揮する制吐剤である。アプレピタントはCYP3A4により主代謝物であるM2となり、M2はさらに酵素的にカルボニル化されM3となる。これらの代謝物もNK1受容体へ特異的に結合することが報告されている。代謝物もがん化学療法による悪心・嘔吐の予防に寄与していると考えられるが、これまでにアプレピタント内服患者における代謝物血中濃度を測定し、その寄与度や有用性について検討した報告は存在しない。そこで本研究では、アプレピタント内服患者における血中アプレピタント及び代謝物濃度を測定し、特に遅発期における制吐作用との関係を明らかにすることを目的とした。 対象患者は当院においてシスプラチンベースの化学療法を施行し、アプレピタントを内服する頭頸部がん患者とした。血液検体はday4の朝に採血されたものを対象とした。アプレピタント及び代謝物の血中濃度はLC-MS/MS法により測定した。制吐効果についてはアンケートおよびカルテを用いて確認した。 同意が得られた35名の患者を対象とした。アプレピタント、M2、M3の血中濃度の中央値及び範囲はそれぞれ 659.0(136.9-2169.7)ng/mL、336.4(104.0-928.1)ng/mL、47.7(17.0-114.2)ng/mLであった。悪心嘔吐について観察した7日間のうち1日以上吐き気の生じた患者は15名(42.9%)で、嘔吐した患者はいなかった。また急性期(抗がん剤投与後24時間以内)に吐き気が生じた患者は1名のみだった。アプレピタントとM3は悪心の有無により血中濃度に差は見られなかったが、M2は悪心が生じた患者に比べて、悪心が生じなかった患者で血中濃度が高い傾向(P=0.068)にあることが分かった。このことからM2が遅発性期における制吐効果に関わっていることが示唆された。
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