2019 Fiscal Year Annual Research Report
C末端欠損によるp53活性化変異を有する赤芽球癆モデル細胞の樹立及び機能解析
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19H00384
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Principal Investigator |
阿部 正子 山梨大学, 医学部小児科, 技術補佐員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 先天性赤芽球癆 / p53亢進 / モルフォリノアンチセンスオリゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当科で経験した先天性赤芽球癆を呈する男児(p53のC末端の欠失(△C末端)を有する)、このΔC末端によるp53の異常活性化が先天性赤芽球癆の原因ではと考え、赤芽球系細胞株K562に発現ベクターを用いて導入し、赤芽球癆モデル細胞(p53亢進型K562)を作成した。このp53亢進型K562では、赤芽球への分化誘導によりヘモグロビン染色陽性細胞が野生型より、約30%まで減少するが、細胞増殖が抑制されないため誘導細胞数は野生型の2倍でむしろ増える結果となった。このことから、当該患者の赤芽球癆はp53活性化だけではないと推察された。そこで、当該患者と類似する患者のゲノムデータを比較したところ、両者ともにxpd遺伝子に変異があるとこが分かった。xpd遺伝子は、近年、細胞周期にも影響を与えていると考えられているよって、p53とxpd両遺伝子の相乗効果により先天性赤芽球癆を呈したのではないかと考えた。今回モルフォリノアンチセンスオリゴを用いxpd遺伝子を抑制したp53亢進型の赤芽球癆モデル細胞を作成し、先天性赤芽球癆となる分化誘導抑制メカニズムを解析することを目的とした。モルフォリノアンチセンスオリゴを導入することにより、本研究においてもp53亢進型K562のxpd蛋白の発現を抑制できた。(以下モデル細胞という)このモデル細胞にHeminを添加し赤芽球への分化誘導を試みた結果、当初の予測通り細胞増殖が抑制されその結果、モデル細胞の赤芽球への分化誘導が抑えられた。このことから、本モデル細胞は赤芽球盧のモデル細胞として十分にその役割を果たせると考えられる。
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