2019 Fiscal Year Annual Research Report
NLRP3インフラマソーム機能を調節する新規分子の機能解析
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19H00416
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Principal Investigator |
金子 直恵 愛媛大学, 医学部, 技術員
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | インフラマソーム / コムギ胚芽無細胞タンパク質合成技術 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフラマソームとは、病原微生物や代謝産物などの分子パターンを認識して活性化する細胞質内タンパク質複合体の総称であり、炎症性サイトカインであるIL-1βやIL-18の産生を誘導することで、炎症反応を惹起する。インフラマソームは、リガンドを認識するNod-like receptors (NLR)s、IL-1β前駆体を切断して活性化する酵素であるカスパーゼ1、それらのアダプター分子として働くASCにより構成されている。多くのNLRsが、遺伝性炎症疾患やメタボリックシンドロームと関連していると報告されている。現在、NOD1、NOD2、AIM2、NLRP3、NLRC4インフラマソーム構成タンパク質をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成技術により合成し、Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay(Alpha)で検出することにより、インフラマソームの試験管内再構成に成功している。以前より、NLRP3インフラマソーム再構成系を用いて、遺伝性炎症疾患に対する分子標的薬の開発を目指し、低分子化合物のスクリーニングを行っているが、評価の過程でNLRP3インフラマソームの作用を増強する分子の存在を予測する新たな結果を得た。そこで本年度は、遺伝性炎症疾患に対する分子標的薬の開発をより効果的に進めるために、NLRP3と相互作用する新規タンパク質を網羅的に探索し、その存在を明らかにすることを目指した。 当研究室が所属しているプロテオサイエンスセンターでは、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成技術を用いてヒトの約2万種類の遺伝子を鋳型に組換えタンパク質として合成し、アレイ化した20K-Human Protein Array(20K-HUPA)が供用されており、Alphaと組み合わせることで、標的タンパク質とヒトで発現しているほぼすべてのタンパク質との相互作用を網羅的に探索することが可能となっている。本年度は、20K-HUPAを用いてNLRP3と相互作用する新規タンパク質を網羅的に探索した。得られた候補については、HEK293T細胞内に再構成したNLRP3インフラマソームの活性化に与える影響を評価し、4つのタンパク質に絞りこむことができた。個々のタンパク質の制御機構について、引き続き解析を行う。
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