2019 Fiscal Year Annual Research Report
-196℃下で柔軟性を保つ多孔体マシュマロゲルを利用した凍結ブロック作製法の検討
Project/Area Number |
19H00422
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Principal Investigator |
牛田 かおり 名古屋大学, 全学技術センター(医学), 技師
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 凍結標本 / 液体窒素 / マシュマロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床病院における手術中の迅速病理診断と、アカデミックな研究における免疫染色において、組織の凍結標本作製法は広く利用されている。平成25年、27年、28年度採択の奨励研究課題を実施する過程で、良質な標本作製には、凍結時の氷晶形成による組織損傷を防ぐために急速凍結が必要であることを再認識した。標本作製の現場では凍結冷媒を用いた凍結法が普及しており、液体窒素単独(-196℃)、液体窒素と中間剤の組み合わせ(イソペンタン : -156℃、ヘキサン : -95℃)などの凍結冷媒が用いられる。温度の点からは-196℃の超低温を供する液体窒素が最も優れているが、ライデンフロスト現象による気泡形成が熱伝導を阻害するため冷却効率が悪く、液体窒素の利点である超低温性が十分に生かされていない。 今回の奨励研究において、液体窒素の保持が可能な柔軟多孔性ゲル(通称マシュマロゲル)を用いることで液体窒素の気泡形成が抑えられライデンフロスト現象を回避して迅速な組織凍結が可能であるかを検証した。液体窒素とマシュマロゲルを組み合わせた凍結法と、従来の中間剤を用いる方法とで温度変化や標本への影響等を比較したところ、マシュマロゲルは本体の6倍重量の液体窒素を吸着し室温下でも長時間-150℃の超低温を保つことができ中心部の凍結不良による凍結ムラがなく氷晶形成も見られなかった。また、イソペンタンなど有機溶媒の混入もないため良質な凍結標本の作製が可能だった。 また、本法に適したモールドの素材や形状・凍結包埋剤等も検討し、金属モールドと粘度が低く強度の強い凍結包埋剤を用いることで低温下でも柔軟性を保つマシュマロゲルの特性を活かすことができた。 今後、超低温保冷剤として活用できるようマシュマロゲルの加工法を工夫し、さらに最適化を検討する。
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