2019 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌におけるリン酸化ECT2臨床病理学的意義の探索
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19H00437
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Principal Investigator |
村田 佳彦 筑波大学, 附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | p-ECT2 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 肺腺癌臨床検体におけるリン酸化ECT2(p-ECT2)の臨床病理的意義を、免疫組織化学を行いて検討した。 2. 研究方法 (1) 2016年から2019年に筑波大学附属病院、および国立病院機構茨城東病院における肺腺癌の外科的切除検体の新鮮割面から腫瘍細胞を擦過、回収し、セルブロック法にてホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックを作製した。これまでに検討した結果、通常のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体では、免疫組織化学による検出が困難であったため、固定は、10%中性緩衝ホルマリン液で1時間行った。両院合わせて121例作製されたFFPE検体を使用し、ECT2、p-ECT2の免疫組織化学を行った。 (2) 免疫組織化学の結果を元に、それぞれの臨床検体の臨床病理学的因子との関連について検討した。 3. 研究成果 (1) 免疫組織化学を行った121例中、8例は細胞数が少ないか、腫瘍細胞が含まれておらず、解析不可能であった。解析可能だったのは113例であった。 (2) 113例について解析を行い、核に陽性を示すECT2と細胞膜に陽性を示すp-ECT2の発現は弱い正の相関を示した(r=0.26)。核ECT2の発現は、年齢、浸潤度、T因子、pStage、v因子、ly因子に関連を認めた。膜p-ECT2の発現は、浸潤度、T因子に関連を認めた。 (3) 今回の検討では、核ECT2の発現に比べ、膜p-ECT2は、浸潤の程度(上皮内腺癌、微少浸潤性腺癌、浸潤癌)、T因子と関連が認められ、その機能は浸潤に関与していることが強く推測された。
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