2019 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓がん標準化学療法の治療効果を規定する腸内細菌叢の同定
Project/Area Number |
19H00444
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Principal Investigator |
闞 鑫 東京慈恵会医科大学, 消化器・肝臓内科, 研究補助員 (90706186)
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 膵臓がん / 腸内細菌叢 / ヒトフローラマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 膵臓がん治療で用いられる化学療法は少なく、いずれ治療耐性をきたしてしまうため、標準化学療法における治療レスポンダーの選別や新規治療法の開発が急務である。近年、免疫チェックポイント阻害剤の治療レスポンダーでは、ある種の腸内細菌叢が増え、この腸内細菌叢を治療ノンレスポンダーモデルマウスに移植し、免疫チェックポイント阻害剤で治療すると、抗腫瘍効果が増強されることが報告されている(Science 2015 ; 350 : 1079-84)。そのため膵臓がんの治療レスポンダーにおいても抗腫瘍効果を増強する腸内細菌叢が存在する可能性がある。本研究では、膵臓がん標準化学療法の治療効果を規定する腸内細菌叢を明らかにするため、ヒト腸内細菌叢を模倣したマウス(ヒトフローラマウス)の作製を目的とした。 [方法] ヒトフローラマウスの作製 : ヒト新鮮糞便をグリセロールストックする。C57BL/6 SPFマウスに抗生剤を投与し、その後ヒト糞便を移植する。抗生剤投与前後と糞便移植後のマウス糞便からゲノムDNAを抽出し、16s rRNA菌叢解析を行い、ヒト腸内細菌叢の生着を確認する。 [研究成果] ①健常者糞便を用いて作製したヒトフローラマウスにおいて、16s rRNA菌叢解析の結果、ヒト糞便移植後のマウス糞便ではマウス由来の腸内細菌叢の割合の減少とヒト由来の腸内細菌叢の割合が増加した。 ②主座標分析からヒト糞便とヒト糞便移植後のマウス糞便の菌叢構造が似ていることが確認され、ヒト糞便移植後のマウスでヒト腸内細菌叢の生着が確認された。 今後、治療効果の異なる膵臓がん患者の糞便を移植したヒトフローラマウスに膵臓がん細胞を移植したモデルマウスを作製する。そのモデルマウスに化学療法を実施し抗腫瘍効果を解析し、治療効果の異なる患者間の腸内細菌叢と化学療法の治療効果の関連性を明らかにする。
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