2019 Fiscal Year Annual Research Report
新型超音波水流ブラシの開発とその有用性の検証(第二報)
Project/Area Number |
19H00460
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Principal Investigator |
佐々木 珠乃 東京大学, 医学部附属病院, 歯科衛生士
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 口腔ケア / 開口障害 / 新型超音波水流ブラシ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 全身性に異所性の骨化を生じる進行性骨化性線維異形成症(FOP)では、次第に開口障害を生じることが報告されている。FOPの進行に伴い手指の運動制限や開口障害が発現すると口腔清掃を十分に行えず、齲蝕や歯周病に罹患しやすくなる。また、開口障害を生じると治療器具の口腔内への挿入が困難となり、十分な歯科治療が行えなくなる。さらに、背中の変形に伴う姿勢保持の困難さも歯科治療困難の要因となる。そのため、FOP患者において、齲蝕や歯周病の予防は非常に重要である。開口障害を発症した患者においては、特殊な歯科器具および口腔清掃用具を用いる必要があるが、ほとんどの場合、頬側のみへの使用に限られる。2005年、アメリカを拠点としたIFOPAの中心的研究チームが、フッ化物洗口剤での含嗽が唯一の舌/口蓋側の歯面清掃方法であろうと声明した。近年、超音波水流がブラシの届きにくい部分・歯面の歯垢を強力除去し、さらに、歯周ポケット内の汚れまで洗い流す効果を発揮することが報告されている。2015年に日本で初めてのフッ化物洗口剤『エフコート』が要指導医薬品として承認された。本研究ではこの超音波水流ブラシの有用性とフッ化物洗口剤の薬効に着目し、FOP患者に開口障害が生じた後の歯面裏側の清掃に有効なメソッドの樹立を目指し、新型超音波水流ブラシの開発を行い、その有用性を検討すること目的とした。 研究方法 : 実験は開口障害を有する患者を対象とするのではなく、歯牙模型使用を前提とし、以下の研究を研究期間内に行った。①市販の超音波水流ブラシの評価、②新型超音波水流ブラシ(試作品)を開発⇒東大工学部との共同研究 研究成果 : 先ず、市販の超音波水流ブラシの定量評価を行った。その結果、歯垢を十分に除去することができなかった。そこで、確実な歯垢除去を可能にする超音波水流の検討を行い、最適な先端ノズルの開発を行った。同時に、内蔵する防水の超小型カメラの開発も行った。安全性が高く、再生利用可能な形状記憶素材の選択に難渋し、そのため、現時点で未だ、形状記憶の材質選択と試作品制作の途中であり、研究期間中に有用性の検証に至らなかった。
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