Outline of Annual Research Achievements |
小児の睡眠障害は, 成長・発達に影響し, 不可逆的な影響を残す可能性もあることから, 早期発見ならびに治療が必要であるが, 小児の睡眠医療に取り組んでいる施設が少ないこともあり, 診療に至っていない小児が少なくない. 愛媛大学医学部附属病院・睡眠医療センターでは, 1泊入院での終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)を実施し, 年間約80例の小児睡眠検査を実施しているが, 検査費用が高額であること, また多数のセンサーの装着を要するPSGを小児が嫌がる場合が多く看護師・技師のサポートによっても検査が困難な場合も多いことから, より簡便な手法での小児睡眠評価手法の確立が望まれている. 本研究では, 携帯型脳波計と終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)の同時測定を行い, 携帯型脳波計による小児睡眠評価法の検証と検査実施手法の確立を目的に検討を行った. 愛媛大学医学部附属病院・睡眠医療センターで, 入院睡眠検査(PSG)を実施した14例(男性9例, 女性5例, 2~15歳, 平均年齢10.4±4.9歳)を対象に, PSGと携帯型脳波計を同時測定した. PSGによる睡眠ステージは目視により30秒ごとのエポックについて判読した. 携帯型脳波計による睡眠ステージは, 自動化されたアルゴリズムに従って判定を行った. 両者の睡眠ステージの一致率を検討した. 5つの睡眠段階(W, N1, N2, N3, REM)で比較した場合の平均一致率は77.5%であり, 4つの睡眠段階(W, N+2, N3, REM)で比較した場合の平均一致率は82.6%で, ともに高い一致率を示した. 本研究により, 携帯型脳波計による測定は有用であることが確認できたことにより, 医師の検査指示のもと外来で看護師や検査技師等の専門職が検査機材の説明や検査解析を行うことで自宅での小児睡眠評価が容易に実施可能となり, 小児睡眠障害患者の診療の普及に大きく寄与することが今後期待される.
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