2019 Fiscal Year Annual Research Report
レジリエンスを育む体育科の授業改善 ~チーム学習を取り入れて~
Project/Area Number |
19H00484
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Principal Investigator |
住田 哲太朗 広島大学, 附属三原小学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | レジリエンス / チーム学習 / 関わり合い |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究の目的 本研究ではその中の「レジリエンス」を育むことをねらいとして体育科の授業改善に取り組んだ。レジリエンスを「逆境にさらされても適応し, 目標を達成するために再起すること」と定義し, 授業改善のポイントを次の3点とした。 (1)授業の中に逆境場面を作り出し, 適応していく過程を踏む (2)子どもたち同士でサポートや肯定的なフィードバックを行いやすい場をつくる (3)達成感を感じやすい課題設定や目標設定を行う これらをもとに, 「他者との対話を通して自己の課題を見付け, 主体的に粘り強く取り組もうとする」子どもを育むことを本研究の目的とする。 2 研究の方法 次の3つの段階を踏んで進める。 (1)チーム学習を取り入れた体育科の授業実践を行う (2)児童へのアンケート調査でレジリエンス合計得点の推移を測定する (3)行動観察とワークシートの記述内容の分析で, 運動に対する意識の変化を評価する 本研究で設定したチーム学習とは「プレイヤー」「コーチ」「サポーター」の役割を作り時間を区切ってローテーションしながら練習することで, チームで課題の解決を目指して協働的に練習する方法である。 これらを取り入れ, 5年生「ハードル走」「マット運動」の授業実践を行った。 3 成果 アンケートでのレジリエンス合計得点は, 点数の変化が少ない児童が多く, 授業前と後で有意な傾向などはみられなかった。レジリエンスはすべての学校教育活動を通して高めていくもので, 体育科の授業改善だけでレジリエンス合計得点の数値が高まるとは言えない。しかし, ソーシャルサポート因子の得点が上昇したことや, 振り返りの内容や児童の行動の変容などから, チーム学習を取り入れて体育科の授業を改善していくことは, 子どものレジリエンスを高める一助となり得ることや, 「する・見る・支える・知る」といった多様な運動との関わり方を保障していくことにつながることが明らかになった。
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