2019 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷後の呼吸筋支配運動ニューロンへの呼吸性シナプス入力回復過程の研究
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19H00491
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Principal Investigator |
河村 健太 茨城県立医療大学, 理学療法学科, 嘱託助手
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 横隔膜運動単位 / 脊髄損傷 / サイズの原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高位頸髄損傷後の横隔膜運動機能回復と脊髄神経回路の可塑的変化を調べることを目的として電気生理学的手法で研究を行った。頸髄半切除モデルはネコを用いて無菌下にて椎弓の部分切除を行い、第3頸髄と第4頸髄の移行部を露出させ、左頸髄の半切除を行った。切除後に閉創し、3か月経過した時点で麻酔下、自発呼吸下で実験を行った。3か月後に麻酔下で、腹部正中を切開し、横隔膜を露出させた。半切除側において頸部を切開し横隔神経にカフ電極を装着した。さらに胸部を切開し胸部横隔神経にカフ電極を装着し、気胸を取り除いて胸部を閉じた。自発呼吸下で腹部から横隔膜に双極針電極を刺入し、単一運動単位を記録した。吸気抵抗負荷をかけて弱い吸息活動から強い吸息活動を発現させた。吸息相での単一横隔膜運動単位の発射のタイミングと軸索伝導速度を調べてサイズの原理が成立するか調べた。吸気抵抗負荷は吸気時に可変的な負荷設定が可能で、呼気時にわずかな負荷となる一方弁装置を自作した。横隔膜運動ニューロン軸索伝導速度は横隔膜運動単位の活動電位をトリガーにし、半切除側の頸部と胸部の横隔神経に装着した双極カフ電極によって単一神経軸索の活動電位を200回から400回平均加算した。平均加算して得られた単一軸索活動電位の波形を測定し、頸部と胸部の単一軸索活動電位の時間差と電極間距離によって軸索伝導速度の算出を行った。 吸気時間のうちの運動単位発火までの時間と軸索伝導速度は相関を認めた。横隔神経運動単位の伝導速度は概ね発射のタイミングが早い運動単位の伝導速度が遅く、タイミングの遅い運動単位の伝導速度が速い傾向がみられ、いわゆるサイズの原理にしたがった結果となった。吸気負荷の増加によって新たな運動単位が出現したが、運動単位発火までのタイミングと軸索伝導速度の関係に大きな変化を認めなかった。頸髄損傷後の横隔膜運動単位の回復は正常に近い神経筋制御に回復する可能性が示唆された。
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