2019 Fiscal Year Annual Research Report
動感的アプローチによる体育の指導法開発-競技者視点映像を用いて-
Project/Area Number |
19H00495
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Principal Investigator |
信原 智之 広島大学, 附属福山中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2019
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Keywords | 一人称視点 / 主観視点 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 体育の授業において, いかに学習者の動きのコツの理解を促すかということがしばしば議論される。本研究ではウェアラブルカメラで撮影した運動している人からの視点の映像(競技者視点の映像)を教材として用い, 学習者の運動感覚や技能の向上にどのような効果があるのかを明らかにし, 新たな指導方法について検討することを目的とした。 ○研究方法 対象者の50m走の記録を元に, 運動能力が偏らないように6班に分けて授業を行った。奇数班は競技者視点の映像を視聴して練習に取り組む群とし, 偶数班は従来の学習方法(iPadを用いて自分の動きを理解し改善点を見つける, ペアでお互いの動きを見てアドバイスをするなど)で活動する群とした。単元後半では生徒の学習機会を平等にするため, 奇数班と偶数班の活動内容を逆にして授業を展開した。 ○研究成果 1. 3種類の競技者視点の映像を視聴することにより, その映像の違いから運動感覚だけでなく, 運動の技術や動作のコツを読み取ることができ, さらに映像の主体の感情までも読み取ることができる可能性が示唆された。 2. 映像を視聴することで学習者は運動の快イメージを感じ, 練習意欲が高まるという効果があること。また, 理想的な動作のイメージの構築を促す効果が期待できる。 3. 競技者視点の映像を視聴するタイミングは, 単元の序盤から中盤あたりがより効果的であること。 4. 事後調査における「映像を見たことで自分のハードル走の運動感覚が変化した」, 「映像を見たことで自分のハードル走の動作が改善された」という調査項目と50mハードル走の記録の伸びとの相関分析を行った結果, どちらの項目に関しても正の相関が見られた。従って, 競技者視点の映像は技能の向上に寄与していると考えられる。
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