2019 Fiscal Year Annual Research Report
違法薬物犯罪の捜査現場での使用を目的としたコカインの簡易検査試薬の開発
Project/Area Number |
19H00514
|
Research Institution | 愛知県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
川上 貴大 愛知県警察本部刑事部科学捜査研究所, 地方公務員研究職
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | コカイン / 簡易検査 / カチノン |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、覚醒剤や大麻は、簡易検査試薬を用いることで、迅速な取り締まりが可能となっている。一方、コカインについては、現在は簡易検査による取り締まりは行われていない。その大きな要因の一つが、コカインの簡易検査法であるスコット試験では、α-PVP等のその他の薬物にも一部陽性反応を示してしまうためである。 この問題を解決に向け、本研究は、コカインとα-PVP等に代表される一部のカチノン系薬物の識別が可能となる新試験法の開発を目指して行った。 開発した新試験法は、既存の呈色試薬による呈色を確認後、添加剤を加え攪拌し、色の変化を観察するという手法である。様々な検討の結果、添加剤として超原子価ヨウ素化合物を用いることで、コカインとα-PVP等に代表される一部のカチノン系薬物を明確に識別することが可能であった。 また、既存の別の呈色試験を併用することで、より強固にコカインの誤判定を防ぐことができ、新しいコカインの簡易検査法として応用可能であると考えられた。さらに、本試験法の基本的な操作は、試薬を加えて振り混ぜ、色の変化を判定するものであり、高価な分析機器や高度な専門知識を必要としないという利点もある。 現在のところ、本試験法の詳細な反応機構は不明であるが、これが明らかにすることで、より簡便で使いやすい試験法の開発に繋がると考えられる。 本研究結果を応用することで、将来コカイン所持者の迅速な取り締まりを行うことができると期待される。
|