2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H00520
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30362750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 亮 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00214677)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宗教施設 / 減災 / 政教分離 / 災害時協力 / 社会福祉協議会 / 自治体 / 災救マップ |
Outline of Annual Research Achievements |
自治体と宗教施設の災害時協力に関しては、政教分離原則や宗教の社会貢献活動における行政の認識が本科研の研究開始段階での検討事項にあったが、2021年1月25日に発出された文化庁宗務課「宗教法人が行う社会貢献活動について(情報提供)」で大きな前進があった。(参照「宗教法人が行う社会貢献活動について」https://note.com/dr178/n/n5ed214ca95ad) 本科研の以下の調査も全日本仏教会等で参照されており、上記にも影響を与えている。研究成果の社会への還元のひとつとして意義あるものと考えている。(稲場圭信、川端亮(2020)「自治体と宗教施設・団体との災害時協力に関する調査報告」『宗教と社会貢献』第10巻第1号, pp.17-29.、稲場圭信・川端亮(2020)「社会福祉協議会と宗教団体との災害時連携に関する調査報告」『宗教と社会貢献』第10巻2号, pp.55-69.) コロナ禍にあっても感染症対策をして、山形県鶴岡市では、市役所の防災担当者とNHK取材班と一緒に、鶴岡市の避難所に指定されている寺院を訪問、災害の対応を寺院側に聞くとともに、市役所の担当者3人から、災害時協力の内容について聞き取り調査をした(「コロナ禍の避難 身近な"あの場所"を駆け込み寺に (NHK山形)」https://www.nhk.or.jp/yamagata-blog2/300/437960.html)。また、鶴岡市には50を超える宗教施設が避難所して入れているが、そのうち10個所を回り、災救マップで位置情報の確認や周辺環境を調査した。災救マップ(https://map.respect-relief.net/)に関しては、全国の避難所の最新データをもとにデーターベースを更新するとともに、コロナ禍にあって、施設混雑状況の発信ができる機能を搭載するなど改修を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍にあって現地調査は山形県鶴岡市や鹿児島県鹿屋市のみとなったが、災救マップの全国データの更新や避難所混雑状況の発信機能の登載などを行えた。また、「自治体と宗教施設・団体との災害時協力」および「社会福祉協議会と宗教団体との災害時連携に関する調査」の全国調査を論文として電子ジャーナルに掲載し、研究の社会還元につなげることができた。これらの調査結果の速報は、以下のように各種メディアでも報道された。 ・国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)Science Window【歴史・宗教 × 科学技術で織りなす新たな防災・減災システム ≪稲場圭信さんインタビュー≫ (https://scienceportal.jst.go.jp/gateway/sciencewindow/20210311_w01/index.html) 「全曹青・災害研修会 コロナで避難所不足懸念 行政と宗教施設の協力拡大」(週刊仏教タイムス1月28)、「災害時の寺院の役割議論 超宗派僧侶オンライン参加」(中外日報:2020年11月20日)、「2次避難所確保急ぐ 長野市が協定 密回避、寺など活用」(読売新聞:2020年8月22日)、「宗教施設661か所 避難所」(読売新聞(西日本):2020年4月3日朝刊)
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍ではあるが、感染症対策をして可能な範囲で全国地方を回り、以下の聞き取り調査を実施する。(1)宗教施設や宗教者との連携をどのように考えているのか(政教分離の解釈も含め)、(2)「災救マップ」の導入の働きかけ。対象:地方自治体、災害ボランティアセンターを開設する社会福祉協議会。 これらにより、宗教施設と宗教者が社会連携する際に障壁となっている政教分離の解釈の相違の実態を明らかにし、どのような条件・環境で、宗教施設や宗教者は行政やパブリックセクターと災害時協力が可能となるのか、平常時の見守りなどで協働するのかを分析する。 災救マップの組織団体利用に向けた対応。(全国の宗教施設の位置情報の精査・未来共生災害救援マップ。略称:災救マップ)https://map.respect-relief.net/に関しては、さらに自治体や民間事業者、宗教法人などの管理権限を設定する仕組みを導入する。また、位置情報の精度を高める方策についてサンプル地域での現地調査を行い、宗教施設の位置情報の精度を高めていく。を行い、宗教施設の位置情報の精度を高めていく。
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Research Products
(13 results)