2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19H00520
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30362750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 亮 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00214677)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宗教施設 / 減災 / 政教分離 / 災害時協力 / 災害協定 / 社会福祉協議会 / 自治体 / 災救マップ |
Outline of Annual Research Achievements |
現地調査・ヒアリング:知事、市長、副市長、町長ら8名を含めて全国の30ほどの自治体(富山市、氷見市、三重県、伊勢市、津市、萩市、山陽小野田市、周防大島町、鹿屋市、曽於市、垂水市、室蘭市、洞爺湖町、北海道伊達市、登別市、鹿児島、鹿児島市、吹田市、豊中市、池田市、指宿市、南九州市、北九州市、中間市、珠洲市、七尾市)を実際に訪問し、ヒアリングと避難所の調査を実施した。 平常時の訓練として災救マップを活用した防災まち歩きを自治体、社会福祉協議会、地域住民と一緒に開催をした(吹田市の大阪大学グローバルビレッジにて)。自治体への災救マップの社会実装も進めた(鹿屋市、南九州市)。また、地域連携の仕組みの構築のために、災救マップの活用に関する協定を日本防災士会と締結した。 これらの現場での取り組みとヒアリングにより、「災害避難所の生活環境を改善するための新たなシステム」の構築のための主要な課題も抽出できた。それらの課題に対して、避難所情報共有システム「災救マップ」の導入および防災士や自主防災会の活用などによるベストミックスで対応を進めることが可能となるソリューションも検討した。 避難所に加えて宗教施設の情報を集約している(全国の指定避難所および宗教施設あわせて30万件)「災救マップ(未来共生災害救援マップ:大阪大学の知財)」(https://map.respect-relief.net/)に関しては、全国の避難所の最新データをもとにデーターベースを更新するとともに、災救マップを組織団体(宗教団体や基礎自治体など)向けの対応が可能なシステムに機能強化した。具体的には、管理系と公開系両システムの設計を行い、組織団体の登録と権限機能を設定し、避難所の開設、避難者数の画面一覧表示・CSV出力、その他、管理系と公開系の統合システムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍にあっても、全国の30ほどの自治体に実際に訪問し、ヒアリングと避難所の調査を実施した。また、「自治体と宗教施設・団体との災害時協力」などの調査報告が研究の社会還元につなげることができた。これらの調査結果は、以下のように各種メディアでも報道された。・「進む宗教施設の避難所活用」(NHK「おはよう関西」、2022年3月4日7時50~56分)・「寺や神社を避難所に コロナ禍で再注目」(NHK「ニュースほっと関西」、2022年2月21日午後6時20~26分)・「社寺を福祉避難所に 京都市上京区が災害時連携協定」(文化時報、2022年3月15日)・「寺を福祉避難所に 茨城・つくばみらい市、県内初の災害協定」(茨城新聞、2021年9月3日) また、災救マップを組織団体(宗教団体や基礎自治体など)向けの対応が可能なシステムに機能強化し、社会実装が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して以下の聞き取り調査と実証実験を実施する。(1)宗教施設や宗教者との連携をどのように考えているのか(政教分離の解釈も含める)、(2)「災救マップ」の導入の働きかけ。対象:地方自治体、災害ボランティアセンターを開設する社会福祉協議会、防災士、宗教者。 「未来共生災害救援マップ。略称:災救マップ」https://map.respect-relief.net/に関しては、さらに自治体や民間事業者、宗教法人などの管理権限を設定し、避難所情報を発信する仕組みを整備する。また、引き続き、位置情報の精度を高める方策についてサンプル地域での現地調査を行い、宗教施設の位置情報の精度を高めていく。 従来の避難所だけでは感染症対策の「密集、密閉、密接」の回避が困難なため、行政が地域でなじみのある寺社等宗教施設に協力を求める事例が増加している。行政、地域と宗教施設の防災の連携の輪は今後もより一層広がる。自治体の危機管理室・防災担当者が、寺社等地域資源を見直し、地域連携の仕組み作りが急務であり、その実証実験を行う。 防災士をはじめ自主防災組織の地域住民などが避難所情報を「災救マップ」で共有するような地域連携の実証実験を実施する。これにより、避難所配備要員(市職員)および避難所情報入力者の業務負荷も軽減できるようになる。
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Research Products
(3 results)