2020 Fiscal Year Annual Research Report
History of South China Sea monsoon variability based on meteorological observation data recorded in ship log books
Project/Area Number |
19H00562
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松本 淳 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (80165894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 尚之 北海道大学, 理学研究院, 特任准教授 (40359211)
赤坂 郁美 専修大学, 文学部, 教授 (40574140)
高橋 洋 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (50397478)
太田 淳 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50634375)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80266353)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 南シナ海モンスーン / データレスキュー / 気象観測データ / 航海日誌 / 海事史 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動研究班では、海外研究協力者から入手したアメリカペリー艦隊とイギリス海軍の航海日誌に記載された気象データを用いて、江戸時代末期の1850-1860年代の西部北太平洋域における気候を復元して解析した論文を出版した。得られた内容についてプレス発表も行った。フィリピンについて、1907~1940年のマニラにおける日卓越風向データセットを作成し、モンスーン風系と貿易風系の季節変化を解析した。19世紀後半と同様に、20世紀前半においても、5月中旬から10月初旬にかけて南西風系の出現率が高くなることが明らかになった。南西風系の開始・終了については、開始時期と比べて終了時期の年々変動は小さく、急激に南西風系の出現率が低下する傾向がみられた。また近年のデータにより、ルソン島における夏のモンスーン季入り後に起きるモンスーン休止期について明らかにした。地上気圧と海面水温のみを用いた20世紀再解析データについて、熱帯アジアモンスーン域において、衛星観測データなどを同化した最新の大気再解析との比較検証が可能な近年の期間について評価した。その結果、南アジア・東南アジアでは再現性が極めて低いことがわかった。また、エル・ニーニョなどの強い海面水温偏差がある場合にも、再現性はそれほど高くないことが明らかになった。 航海史・海洋史・海戦史研究班では、オランダ・ハーグの文書館で発見した航海日誌をライデン大学の研究協力者からの助言を受けつつ、位置情報・気象観測記録などのデジタル化を進めた。また同時に、欄外記載のメタ・データの解読も行い、台風など特異気象現象が生起した時の記録を特に細かく検証した。コロナ禍のため、オランダでの調査・研究には支障が生じたが、国内でできる範囲で所蔵資料を調査し、有益な情報を入手した。得られた成果は、国際研究プロジェクトACREでのオンライン年会ほかで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の海上気象データセットICOADSでは、1860-1880年代の船舶データが少なかったため、今年度はイギリス気象庁とイギリス公文書館で入手した1870年代の20航海の航海日誌の気象データをデジタル化した。オランダ海軍のメデューサ号の航海日誌を入手して気象データをデジタル化し、1863年に解析対象の南シナ海を航行していることがわかった。 南シナ海のモンスーン気候の影響を直接に受けるフィリピンについて、マニラにおける1907~1940年の日卓越風向データセットを作成し、モンスーンの開始・終了に伴う風系の季節変化を解析した。またフィリピンにおける近年のモンスーンに伴う季節変化・季節内変動についての解析を行った。大気の高層観測が限られている1950年代以前の大気循環の理解は容易ではない。その中で、地上気圧と海面水温のみを用いた20世紀再解析が作成され注目されているものの、その性能評価はほとんど行われていないため、伝統的データのみを同化して作成された長期大気再解析データと衛星観測データなどを同化し、他方、最新の大気再解析との比較を進めた。なお、COVID-19の感染が年度内に沈静化しなかったため、予定していたオランダでの海外調査は次年度以降に延期した。日本国内の下関市立博物館、広島江波山気象館・和歌山地方気象台などの所蔵資料を調査し、予定していた以上の情報入手が進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きイギリス気象庁とイギリス公文書館で入手した1860-1880年代の航海日誌の気象データのデジタル化を進める。昨年度デジタル化した航海日誌の気象データを用いて1870年代の南シナ海での風の季節変化を調べ、南シナ海モンスーンの解析を進める。フィリピンについては、1901~1906年のマニラにおける日卓越風向のデータセットを作成し、1868~1940年のマニラにおける卓越風系と降水量の季節進行との関係を解析する。20世紀前半については、マニラ以外の地点の風向・風速データも併せて、フィリピンにおけるモンスーン風系の季節変化について空間的な解析を試みる。近年のフィリピンにおける季節変化・季節内変動に関する解析も進める。20世紀再解析について、亜熱帯の性能評価を継続して行う。COVID-19の感染状況をにらみながら、オランダでの海外調査を研究協力者と共に実施し、オランダ船の航海日誌に関するさらなる探求と、記載内容のデジタル化を進める。国内に散在している江戸時代、明治時代初期の日本周辺での航海日誌の探索を進める。
|
-
-
-
-
-
[Journal Article] A climatological analysis of the monsoon break following the summer monsoon onset over Luzon Island, Philippines2021
Author(s)
Olaguera, L.M., Matsumoto, J., Kubota, H., Cayanan, E.O. and Hilario, F.D.
-
Journal Title
International Journal of Climatology
Volume: 41
Pages: 2100, 2117
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] Tropical cyclones over the western north Pacific since the mid-19th century2021
Author(s)
Kubota, H., Matsumoto, J., Zaiki, M., Tsukahara, T., Mikami, T., Allan, R., Wilkinson, C., Wilkinson, S., Wood, K. and Mollan, M.
-
Journal Title
Climatic Change
Volume: 164
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Development of an updated global land in-situ-based dataset of temperature and precipitation extremes: HadEX32020
Author(s)
Dun R. J. H., L. V. Alexander, M. G. Donat, X. Zhang, M. Bador, N. Herold, T. Lippmann, R. Allan, E. Aguilar, A. A. Barry, M. Brunet, J. Caesar, G. Chagnaud, V. Cheng, T. Cinco, I. Durre, R. de Guzman, T. M. Htay, W. M. W. Ibadullah, M. K. I. B. Ibrahim, M. Khoshkam, A. Kruger, H. Kubota, et al.
-
Journal Title
Journal of Geophysical Research: Atmospheres
Volume: 125
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
[Presentation] Data rescue of climate data before WWII in the Asian monsoon region2021
Author(s)
Matsumoto, J., Kubota, H., Inoue, T., Terao, T., Murata, F., Hayashi, T., Akasaka, I., Endo, N., Zaiki, M. and Mikami, T.
Organizer
International Workshop on Rain, Rivers, and Rice in Modern Asia
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-