2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the influence of the education labor movement structure on education politics in postwar Japan
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19H00625
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣田 照幸 (広田照幸) 日本大学, 文理学部, 教授 (10208887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 晋平 佐賀大学, 教育学部, 講師 (00758807)
森 直人 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10434515)
二宮 祐 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 准教授 (20511968)
丸山 和昭 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20582886)
香川 七海 日本大学, 法学部, 助教 (20816368)
冨士原 雅弘 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (30339238)
長嶺 宏作 帝京科学大学, 教職センター, 講師 (30421150)
太田 拓紀 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30555298)
小野 方資 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (30569827)
末冨 芳 日本大学, 文理学部, 教授 (40363296)
神代 健彦 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (50727675)
田中 真秀 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50781530)
徳久 恭子 立命館大学, 法学部, 教授 (60440997)
岩田 考 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (60441101)
宇内 一文 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (60546266)
荒井 英治郎 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (60548006)
金子 良事 阪南大学, 経済学部, 准教授 (60771128)
筒井 美紀 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70388023)
布村 育子 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (70438901)
古賀 徹 日本大学, 通信教育部, 教授 (90297755)
植上 一希 福岡大学, 人文学部, 准教授 (90549172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本教職員組合 / 日教組 / 労働運動 / 教育運動 / 労戦統一 / 平和教育 / 教研集会 / 55年体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1950年代から1980年代末までの期間を研究対象に据え、日教組が所蔵する非公開史料の特別な利用、日教組幹部OBのヒアリングや私文書の活用により、それぞれの時期に日教組内部でどのような論争や対立があり、それが結果的に日教組の運動にどういう方向性を与えたのかを、労働運動と教育運動の両面から分析することをめざしている。 本年度は、大別して、3つの研究活動を進めた。第一に、新資料の収集と整理である。日教組が所蔵する膨大な未整理史料のうち、本年度は、1960~90年代の日教組発単組宛の「発文書」を中心に史料整理と目録の作成を行い、そのデジタル化を進めた。また、ヒアリング調査は元三役、元情宣部長などを対象に行った。日教組関係者の私文書については、新たな受入れの作業と整理作業とを進めた。また、今年度は米国の大学図書館に所蔵されている占領期の史料調査を行い、日教組関係の情報をまとめて入手してきた。 第二に、特定課題の分析である。整理ずみの史料やヒアリングデータを活用しながら、グループ及び個人で、それぞれ特定課題について考察を進めている。本年度は、労働運動チームでは、①総評の結成と講和問題(1950~52年)、②偏向教育問題と教育二法(1953~54)、③70年代のストライキと裁判闘争、④給特法案・人確法案への対応、⑤主流派内部の左右両派の対立と臨教審への対応(80年代)、⑥反主流派の離脱による日教組の分裂(1989)に至る過程を検討した。いずれも2年度目と最終年度に成果をまとめていく。教育運動チームでは、⑦日教組講師団をベースに国民教育研究所が設立(1957)されていった過程、⑧第1次・第2次検討委(1970-74、81-83)の検討を行った。 第三に、これまでの一連の研究成果を上下2冊の本として刊行したが、その刊行準備過程において、進捗した研究の内容を反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度にあたる令和元年度は、全体としては順調に進み、研究成果として、グループや個人でのいくつかの成果をまとめることができた。史料の整備という面では、本年度はきわめて順調に作業が進行した。日教組の所蔵する非公開史料の整理では、たくさんのアルバイト学生を使った作業により、これまで不十分だった1960-80年代の史料の整理が進んだ。また、1970-80年代の2次にわたる教育制度検討委員会の未整理史料の整理と放置されてきていた音声データの整理も進んでいる。日教組OBなどへの聞き取り調査では、特に「歴史的和解」(1995年)前後の事情を複数の関係者から聞き取った。聞き取り調査が終了しているものについては、ご本人に確認をしてもらいながらヒアリング記録としてまとめる編集作業が進んだ。教育研究集会及び国民教育研究所関係の史料も、複数のグループの共同作業として、本格的に整理作業を開始した。 整理ずみの史料やヒアリングデータを活用しながら、グループ及び個人で進めている考察では、1950年代及び1970年代についての分析が、特に進んでいる。1950年代については、労働運動、平和運動、教育運動の諸側面の内部での議論が明らかになってきている。1970年代については、総評との関係、給特法や人確法の成立過程での日教組内部での動きなどが明らかになってきている。これらについては、全体会とグループ会合により、各グループ、個人で進めている分析作業の中間報告を行い、メンバー内で成果を共有している。全体会では、現時点で整理・収集した資料を用いて、各グループから報告者を出して、報告・議論するとともに、何人かのゲスト・スピーカーの講演・報告をもとにした議論を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
日教組の所蔵する非公開史料の整理では、簿冊化されていない1960-80年代の史料及び専門部の史料の整理とデジタル化を予定している。同時に、まだ簿冊単位の整理にとどまっているもののうち、「教育情報」と「発文書」などについては、件名索引を作成する作業が膨大に残っているので、アルバイトを使いながら件名索引を作成していく。教育制度検討委員会の未整理史料の整理と放置されてきていた音声データの整理、及び、教育研究集会及び国民教育研究所関係の史料については、複数のグループの共同作業として引き続き整理を進める。また、教研集会の元助言者や、国民教育研究所の元所員などへのヒアリングを開始し、それらの方々が所蔵する私文書の閲覧と収集にも努める。 整理ずみの史料やヒアリングデータを活用しながら、グループ及び個人で進めている考察では、引き続き1950年代及び1970年代についての分析を中心に検討を進め、それらは研究成果の形で取りまとめを行っていく。教研集会、平和運動、「偏向教育」問題、人確法、1974年全一日ストなどが、当面の取りまとめに向かっている課題である。そのほかにも、1989年の分裂、党員協などのインフォーマル・グループの構造と機能、教育公務員特例法の改正問題など、個々のメンバーで分析を進めている主題もいろいろあるので、適宜研究メンバー内での報告会などを行って、研究のとりまとめに向けた議論を行っていく。 とはいえ、2020年1月以来のコロナウィルスの感染拡大により、申請時に予定していた作業や会合を、予定通り行うことは難しくなってきている。予定している作業は分散型にできるものは分散し、そうでないものは時期を遅らせて実施する。ヒアリングは、対象者が高齢者であることもあり、時期を遅らせて実施する。研究会合は、可能な範囲でZoomなどを使ってオンラインで実施する。
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Research Products
(11 results)