2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00628
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 修士 京都大学, こころの未来研究センター, 准教授 (90507922)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 隆介 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (10576234)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 認知神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本基盤研究(A)は、若手研究(A)の最終年度前年度応募によって開始・拡張された研究プロジェクトである。本研究の行動実験では、潜在的連合テスト(IAT; Implicit Association Test)を用いることで、「嘘をついてはいけない」とする潜在的態度が、嘘を抑制する要因として作用するかを調べる研究を行っている。これまでは主に自己利益を追求する嘘のみを対象としていたが、今年度の研究においては、他者利益を目的として嘘をつく頻度との関連を調べる実験に着手し、データ取得も概ね完了している。脳機能画像研究では、今年度は潜在的態度との関連を調べる正直さ・不正直さの神経基盤についての実験データ取得を進めてきたが、より強固なエビデンスを得るため、新たな実験パラダイムを用いた研究を行うことを計画している。また、神経心理学的研究では、パーキンソン病を対象とした研究の準備を進めている。これまでの研究で用いてきた実験パラダイムでは、嘘をつくことが自己の利益につながるものの、他者へ何らかの損害を与えるといった要素は含まれていなかった。今年度は先行研究をもとに、嘘をつくことで他者が不利益を被る状況での認知課題を作成した。既に予備実験を実施し、本実験への移行のための準備が整ったため、今後は患者群及び健常対照群のデータ取得を進めていく。なお、パーキンソン病の研究では、本研究プロジェクトとの関連で、内発的動機づけに関わる実験を並行して実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定している行動実験、脳機能画像実験、神経心理学的研究について、いずれも当初の予定通り、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には、行動実験に加え、脳機能画像法による研究と神経心理学的研究を計画通り遂行する。ただし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ヒトを対象とした本研究における実験の実施は、当面の間は困難である可能性が高い。この点については、状況に応じて他の研究手法を用いた代替案を検討する。
|