2020 Fiscal Year Annual Research Report
Physics of Spin-triplet superconductivity
Project/Area Number |
19H00657
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鄭 国慶 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (50231444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俣野 和明 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (70630945)
川崎 慎司 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (80397645)
市岡 優典 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (90304295)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | スピン三重項超伝導 / トポロジカル量子現象 / 核磁気共鳴 / 量子臨界点 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度において、以下の成果を得た。 (1)強磁性スピンゆらぎが存在する超伝導体K2Cr3As3において、As核位置での電場勾配の主軸を核四重極共鳴実験及び第一原理の計算から明らかにした。この成果は、単結晶における核磁気共鳴法によるスピン三重項超伝導の実証の基礎を成すものである。 (2)ワイル半金属TaAsにおいて、巨大な軌道反磁性を見出し、低エネルギー励起を明らかにした。ワイル半金属はトポロジカル的なエネルギーバンドを有し、スピン三重項超伝導の状態密度と類似点をもつ。本研究では、その低エネルギー励起による核スピン格子緩和率がK2Cr3As3の超伝導状態と全く同じ温度依存性を示すことを発見した。 (3)重い電子系CeRh0.5Ir0.5In5において、奇周波数ギャップレス超伝導状態を発見した。このような新奇な超伝導状態はスピン三重項超伝導と深く関連するものである。 (4)銅酸化高温超伝導体YBa2Cu4O8において、その常伝導状態が電子液晶的(ネマティック)な振る舞いをすることを発見した。このような新奇な電子状態の発見はCuxBi2Se3の超伝導状態(ネマティック状態)の普遍性を理解するのに有益である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
K2Cr3As3単結晶における核磁気共鳴(NMR)法によるスピン三重項超伝導の実証の基礎をしっかり築くことができた。実際、As核位置での電場勾配の主軸が判明したことにより、NMRスペクトルからナイトシフトを正確に決定することができた。また、結果の解釈において、奇周波数超伝導状態に対する理解が大いに参考になった。 さらに、申請者らによって確立されたスピン三重項超伝導体CuxBi2Se3の単結晶作製が順調に進み、各ドープレベルの試料の物性が解明できており、多様なスピン三重項超伝導ギャップが明らかになりつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
K2Cr3As3の超伝導状態のスピン帯磁率の温度、磁場角度、磁場強度に対する依存性を明らかにし、スピン三重項超伝導を確立させる。また、キャリアドープしたCuxBi2Se3においては、ネマティック状態からカイラル状態への転移や、カイラル状態の物性を明らかにする。これにより、多彩な新奇物性を示すスピン三重項超伝導の物理を開拓する。
|
Research Products
(12 results)