2019 Fiscal Year Annual Research Report
Real space observations of topological spin textures and their dynamics by electron microscopy
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19H00660
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
于 秀珍 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (30538244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スキルミオン / アンチスキルミオン / 電流パルス / ローレンツ電子顕微鏡 / トポロジカル磁気構造 / 省エネー電子デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 低電流による単一スキルミオン及びその結晶状態の制御: 磁壁の移動に必要な電流密度より3桁低い電流密度の電流パルスによる、らせん磁性体FeGeのマイクロデバイス中の80nmの単一スキルミオンとその結晶の生成、消滅、移動することに成功した。また、スキルミオンクラスターのトルクモーションを世界で初めて直接観察することにも成功した[X.Z. Yu, et al., Science Advances, 6, eaaz9974(2020)]。 2. 原子スケールスキルミオンの正方格子の直接観察: 希土類合金GdRu2Si2において、過去最小となる直径1.9nmスキルミオンの正方格子の直接観察に成功した[N. D. Khanh, X. Z. Yu, et al., Nature Nanotechnology,(2020)]。本研究結果は、スキルミオンを用いた超高密度の情報処理が可能な電子デバイスの創出への役割を果たすと思われる。 3.磁場・温度誘起スキルミオンとアンチスキルミオンの相互変換: 本研究では、D2d 空間対称性を有するMn1.4Pt0.9Pd0.1Sn の磁気構造の外部磁場下での変化を系統的に観察し、そのトポロジカル状態を制御した。Mn1.4Pt0.9Pd0.1Snの薄片試料に面内磁場の印加や温度を変えることで、正方形のアンチスキルミオン(トポロジカルチャージは+1)の正方格子から楕円形のスキルミオン(トポロジカルチャージは-1)の三角格子への変化、または外部磁場でスキルミオンヘリシティーの制御が可能であることが分かった[発表論文1]。外部磁場や温度変化によりスキルミオン、アンチスキルミオンとそれらの格子構造の制御が出来たことは、トポロジカルスピンテクスチャの多様性、制御の可能性、またはこれらを用いた電子デバイスへの応用に新たな一歩を邁進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現状としては、三次元イメージング技法を確立にあたって、様々な三次元磁気構造を探索し、その二次元射影像の情報から、三次元磁気構造の励起条件を確定することである。 1.二次元磁性料におけるネール型スキルミオンの励起および観察:ファンデルワールス構造を有する二次元磁性材料Fe3GeTe2は、将来的にスピントロニクスへの応用に期待されている。本研究では、実空間からアプローチし、Fe3GeTe2におけるスキルミオンの励起および構造を直接観察する。スキルミオンを励起するため、外部印加磁場に対し、Fe3GeTe2薄片を一定角度(傾斜角20度)で、室温から磁気秩序温度以下まで冷却し、スキルミオンの三角格子を電子顕微鏡中に生成する。試料の傾斜角はゼロの場合、スキルミオンの構造が完全に消えるように見える。一方で、面内磁場を加えることで、スキルミオンのコントラストが現れることが実空間観察によって明らかになった。シミュレーションと照らし合わせた結果、Fe3GeTe2における励起されたスキルミオンはネール型スキルミオンであることを判明した。今後、ネール型スキルミオンの三次元構造の可視化を目指す。 2.二次元薄片におけるヘッジホッグ スピンテクスチャの励起およびその構造の可視化:ヘッジホッグ スピンテクスチャを薄片試料中に励起し、そのトポロジカル スピンテクスチャの二次元射影像の直接観察を行った。実施例として、カイラル磁性体Co-Zn-Mn薄片に面内磁場を加え、薄片に平行したスキルミオン紐の周期構造を励起した。その後、磁場中で試料を冷却することにより、準安定状態のスキルミオン紐を生成した。中には、千切れたスキルミオン紐や枝分かれしたスキルミオン紐における三次元ヘッジホッグ スピンテクスチャの生成・消滅および駆動条件を実空間観察により明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、三軸(x,y,z)傾斜可能の顕微鏡観察用試料ホルダーを導入し、三次元のマイクロピラー中に様々なトポロジカル・スピンテクスチャの周期構造(例えば、スキルミオン(Sk)の正方格子、一次元Skチェーン等)を誘起し、そのダイナミクスを実空間観測することを目指す。特に、枝分かれしたSkストリングや、ちぎれたSkストリングの内部変形によって生じた磁気単極子・反磁気単極子対、またはホプフォインやアンチスキルミオンの三次元スピンテクスチャの可視化を目指す。 研究計画は以下である。 1.マイクロピラーの作製および三次元磁気構造の二次元投影の観察:ヘッジホッグ磁気構造やアンチスキルミオンを生成可能な物質を選定し、集束イオンビームによるマイクロピラーを加工する。次は、ゼロ磁場でのピラーの三次元磁気構造の準安定状態を実現し、これらの構造の二次元投影像を取得する。具体的に、試料中に現れる千切れたスキルミオン紐の端点や枝分かれしたスキルミオン紐の接点に現れるヘッジホッグ スピンテクスチャ(モノポール)、またはアンチスキルミオンのブロッホライン等の微小な三次元トポロジカル構造とそのダイナミクスを直接観察する。また、外部刺激を加え、これらの三次元トポロジカル磁気構造の発生・消滅、またはトポロジカル磁気相の相転移、相分離などをその場で観察し、様々なトポロジカル構造をもたらす機構を解明する。 2.三次元磁気構造の構築:高角傾斜可能の試料ホルダーを活用し、ヘッジホッグの三次元磁気構造の多方向の二次元顕微鏡像を取得し、三次元磁気構造の再構築を行う。取得した三次元磁気構造と電子線位相の三次元分布(磁気構造は電子線位相の微分に比例している)のシミュレーション結果を照合した後、再度、二次元投影像を取得する。実験とシミュレーションで得られた三次元磁気構造とシミュレーションの差異が最小となるよう繰り返し操作する。
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[Journal Article] Skyrmion phase and competing magnetic orders on a breathing kagomé lattice2019
Author(s)
M. Hirschberger, T. Nakajima, S. Gao, L. C. Peng, A. Kikkawa, T. Kurumaji, M. Kriener, Y. Yamasaki, H. Sagayama, H. Nakao, K. Ohishi, K. Kakurai, Y. Taguchi, X. Z. Yu, T. Arima, Y. Tokura
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Journal Title
nature Communications
Volume: 10
Pages: 5831
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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