2021 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ共晶体構造を応用した量子線弁別型超高解像度イメージング装置の開発
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19H00672
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌田 圭 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60639649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 誠一 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (00290768)
島添 健次 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (70589340)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シンチレータ / 放射線検出器 / 共晶体 / 光導波 |
Outline of Annual Research Achievements |
シンチレータ相としてCsI相, BaCl2相に注目し、三元系のハロゲン化物共晶体にたいする検討を実施した。CsI/CsCl/NaCl, CsI/CsCl/KCl, CsI/KI/KCl, BaCl2/NaCl/KClの新規3元系ハロゲン化物光導波型シンチレータを報告することができた。いずれも賦活剤としてCsI相にTl、BaCl2相にTb, Euを添加することで、イメージング用シンチレータ材として適した光学特性を得ることができた。さらに、CsI/CsCl/NaCl, BaCl2/NaCl/KCl共晶体に関して大口径化を行ったところ、CsI/CsCl/NaCl 共晶体においてチョクラルスキー法で1インチの結晶を作製することができ、育成速度12mm/hで共晶体均一領域が33%と最大になった。一方、BaCl2/NaCl/KCl共晶体垂直ブリッジマン法で2インチの結晶を作製することができ、育成速度0.01mm/minで共晶体均一領域が50%と最大になった。以上のように試作した共晶体シンチレータを1mm厚のプレートに加工研磨し、既存の高速CCDカメラと組み合わせたイメージング検出器を構成し、α線およびβ線に対するイメージング試験を実施した。α線に対するイメージング評価結果ととして、Tl:CsI/CsCl/NaClではFWHM:17μm, Tb:BaCl2/NaCl/KClではFWHM:33μm, Eu:BaCl2/NaCl/KClではFWHM:50μmの位置分解能が得られた。SOI-SiPMおよびASICを含めた読み出し回路の開発においては、350μmピッチの光電面を有する6x3mmを1ユニットとするSOI-SiPMおよび専用ASICを試作し、単結晶シンチレータであるGd3Ga3Al2O12と組み合わせた動作確認までを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「2.共晶体の大口径、大型育成技術の開発」の検討項目においては、2インチ径のBaCl2/NaCl/KCl共晶体シンチレータの試作に成功し、20mmを超える有効面積を得た。これは2022年までを目標とする計画を前倒しするものであり、当初の計画通りに進捗している。 「3. SOI-SiPMおよびASICを含めた読み出し回路の開発」および「イメージング装置の試作と粒子・光子弁別アルゴリズムの開発」においては共晶体シンチレータと高速CCDカメラを用いたイメージング検出器を試作し、α、β、γ線のイメージングを確認し、飛跡の違いによる、弁別の可能性を確認している。さらに350μmピッチの光電面を有する6x3mmを1ユニットとするSOI-SiPMおよび専用ASICを試作し、単結晶シンチレータであるGd3Ga3Al2O12と組み合わせた動作確認までを実施しており、順調に進捗している。 一方で「放射光、加速器施設におけるイメージング試験」の検討項目では、海外渡航が制限される状況においてCERNでの長期間の実験が困難であったことから、現場での試験が遅延せざるを得ない状況となっている。これについては国内の放射光、加速器施設において、イメージング試験を実施する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
共晶体構造の最適化において、共晶体がより安定して成長するような整合界面の考察、最適な賦活剤の濃度、共晶体組成における固溶率の考察、育成条件のさらなる最適化、共晶点ずれ組成比の構造解析などの検討の余地がある。また、状態図がないアルカリハライド系の組み合わせを検討することで、より有望な共晶体シンチレータを発明できる可能性がある。 今後は、試作したシンチレータと高速CCDやSOI-SiPMといった光検出器を組合せたイメージング装置の試作を進め、国内の放射光、加速器施設において、平行度の高いX線などのビームラインを活用した、高分解能イメージング装置の実証試験を進める計画である。
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Research Products
(26 results)