2020 Fiscal Year Annual Research Report
Unified Understanding of Explosion and Emission Mechanisms of Gamma-Ray Bursts
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19H00693
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長瀧 重博 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (60359643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 裕貴 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (30434278)
高見 健太郎 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70758002)
水田 晃 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (90402817)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / 相対性理論 / 衝撃波ブレークアウト / ガンマ線バースト残光 / キロノバ / 連星中性子星 / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
緩い相対論的衝撃波のブレークアウト現象に於ける運動量空間中の光子分布、陽子分布、電子・陽電子分布をモンテカルロ計算によって詳細に調べました。これは連星中性子星の合体現象GW170817に於いて観測されたショートガンマ線バーストの起源に迫る理論的研究の第一歩と言えます。何故なら、GW170817の残光現象(電波)から推定される相対論的ジェットは地球の方向を向いておらず、別の物理過程によってガンマ線バーストを説明する必要があると強く示唆されているからです。衝撃波のブレークアウト現象はその有力候補ですが、その現象に於いて光子が豊富にある場合と不足している場合で大きく数値的に解く難度が異なります(光子が不足している方が難解)。我々は光子が不足している場合に対しても詳細な計算を行い、ブレークアウト現象について世界最先端の研究成果を得ることが出来ました。 また、現象論的にガンマ線バーストの相関関係を我々は詳細に調べ、ガンマ線バーストのピーク光度、平坦残光終了時のX線光度、平坦残光の継続時間に相関があること、特にGW170817に代表されるキロノバを伴うショートガンマ線バーストの相関が強いことを発見しました。この成果は世界各地でプレスリリースで発表され、ガンマ線バーストを宇宙論パラメータ推定に使えるガンマ線バースト宇宙論へ光明を指しました。 また査読論文として報告するには至っていませんが、一般相対論的磁気流体コードの新規開発、特殊相対性理論的流体計算と輻射輸送計算によるショートガンマ線バースト現象の理論的説明についての研究も着実に進んでおり、特に後者については査読論文に投稿直前まで来ています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題は採択前からチームを組んで共同研究を推進しており、本基盤Aの採択によって、多大な支援を頂いている。我々は幸先良く、衝撃波ブレークアウトに関する国際的共同研究を査読有論文として仕上げることに成功した。また現象論的にガンマ線バーストの相関関係を詳細に調べることにより、ガンマ線バースト宇宙論への道筋に光明を指すことに成功した。特に後者については世界各所でプレスリリースされ、大きな注目を浴びた(RIKEN & KIPAC Press Release on “The longest "rulers" in the universe -- Gamma-Ray Bursts associated with Kilonovae are the new standard candles” by Maria Dainotti, Shigehiro Nagataki, et al. 19 Nov. 2020.)。また査読論文としては報告するには至っていないが、我々は連星中性子星合体からの相対論的ジェット形成およびショートガンマ線バースト再現の数値シミュレーションを行っており、ほぼ投稿段階に来ている。また我々は一般相対性理論効果入り磁気流体コードの新規開発を行っており、完成までもう一歩のところまで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
一般相対性理論的磁気流体コードを完成させることにより、ブラックホール形成に基づくガンマ線バーストジェット形成、特にBlandford-Znajek効果について着目しながら数値シミュレーションを実行する予定である。この数値シミュレーションの終状態を、現在我々が行っている相対論的ジェット伝搬と輻射輸送計算の初期条件として設定することを目指す。これによってガンマ線バースト中心エンジンからガンマ線バースト放射に至る一連の過程を全て網羅した世界最先端の理論的研究を実現する。一方本研究期間中に予期せず成果となったガンマ線バースト観測の現象論的解析についての研究を更に深め、ガンマ線バースト宇宙論の可能性を追求していく。またガンマ線バースト観測の現象論的解析から示唆されるガンマ線バースト光度・平坦残光X線光度・平坦残光継続時間を第一原理的な理論のアプローチによって説明することを試みる。
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