2021 Fiscal Year Annual Research Report
Unified Understanding of Explosion and Emission Mechanisms of Gamma-Ray Bursts
Project/Area Number |
19H00693
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長瀧 重博 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (60359643)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 裕貴 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (30434278)
高見 健太郎 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70758002)
水田 晃 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (90402817)
石井 彩子 山形大学, 理学部, 助教 (70802239)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ガンマ線バースト / 相対性理論 / 衝撃波ブレークアウト / ガンマ線バースト残光 / キロノバ / 連星中性子星 / 重力波 / 高密度状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は連星中性子星合体に伴うガンマ線放射の研究についての成果を挙げることに成功した。大局的な相対論的流体シミュレーションと輻射輸送計算を組み合わせた研究からは、連星中性子星合体に伴う相対論的ジェットの光球面放射を世界で初めて評価した。その結果、光球面放射が典型的なショートガンマ線バーストの起源となる可能性が示唆され、偏光といった放射の詳細な性質に関しても明らかにした。また、r-process元素の存在を考慮した相対論的輻射媒介衝撃波の第一原理計算にも取り組んでおり、その結果から連星中性子星合体に伴うしョックブレイクアウトの放射過程に重要な示唆を与えることに成功している。この成果はAstrophysical Journal誌に掲載され(Ito et al. ApJ 918, Issue 2, id.59, 2021)、また同誌のインタビューを受け、Youtubeに公開されている。また我々は、ガンマ線バースト即時放射、残光の相関関係について詳細な解析を行い、その関係式を用いてガンマ線バースト宇宙論への窓を開ける試みも行った。
また我々はロングガンマ線バーストの起源を解明する上で非常に重要な、ジェット状爆発を起こした超新星残骸、Cassiopeia Aについての成果を挙げた。今回、Cassiopeia Aの鉄領域中に、安定なチタンとクロムを5標準偏差以上の信頼度で観測することに成功した。この観測されたチタンとクロムの質量比を理論的に考察すると、アルファリッチフリーズアウトが必要であり、爆発時の衝撃波を押し上げる高エントロピーな噴出物の存在を証明する証拠となった。この成果はNature誌に掲載され(Sato et al. Nature 592, 7855, p.537-540, 2021)、Nature誌の表紙を飾った。この成果はNASAのプレスリリースにも取り上げられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「ガンマ線バースト中心エンジンの進捗状況」 連星中性子合体における一連の過程から放出される重力波には幾つかの特徴的な振動数が含まれており、その起源や特徴を調べることによって、合体のダイナミクスや中性子星の状態方程式などの情報が引き出せると期待されている。現在までに、特に起源が明確かつ最も強度が強いf2振動数に焦点を当てて研究を進めており、世界で最初にクロスオーバーな相転移を持つQHC19状態方程式も含めて相転移の有無や種類の影響を調べた。 「相対論的ジェットの伝搬の進捗状況」 最新の計算手法を採り入れた3次元相対論的流体コードの開発、改良を行った。その応用としてガンマ線バーストジェット伝搬の研究を行い、伝搬に伴う流体不安定性の成長とそれが伝搬に与える影響を調べた。特に流体不安定性の成長は解像度依存性が強く高解像度計算の場合、より短波長のモードが解像され、より多くのジェットのエネルギーが先端に達する前にコクーンへ渡るため伝搬効率が落ちることが分かった。 「ガンマ線伝搬過程の進捗状況」 我々は連星中性子星合体に伴うショートガンマ線バーストの放射を、特殊相対性理論的流体計算と輻射輸送計算によって評価することに初めて成功した。その結果、米徳関係式がショートガンマ線バーストにおいても成立することが示唆された。また、暗いガンマ線バーストほど偏光度が高くなることも明らかになっている。また、連星中性子星合体からの初期電磁波放射のエネルギースペクトルを数値的に予測するため、相対論的モンテカルロ輻射輸送計算コードに束縛-束縛遷移過程を導入し、コードの詳細なテストを行った。テストの一環として、IIn型超新星の観測で見られる幅の狭い特徴的なHα輝線を数値的に再現することにより、コードの妥当性を検証した。
|
Strategy for Future Research Activity |
「ガンマ線バースト中心エンジンの研究推進方策」 連星中性子合体過程から放出される重力波に含まれるf1振動数は、状態方程式の種類に依存しないユニバーサルな関係式の存在が示唆されるなど重要なものであるが、その起源を含め未解明なことが多い。そこで、簡略化された状態方程式を用いて、状態方程式とf1振動数の間の関係をモデル化することによって、その起源およびユニバーサルな関係式が存在する理由を探っていく。 「相対論的ジェット伝搬の研究推進方策」 連星中性子星合体から相対論的ジェットが放出される過程を解く特殊相対性理論的流体計算を、多様な初期条件に基づき行い、ショートガンマ線バーストのジェットのダイナミクスを系統的に明らかにしていく。また、昨年度行ったロングガンマ線バーストの3次元計算の結果を論文にまとめ、コンパクト連星合体時におきると考えられているショートガンマ線バーストジェットのダイナミカルエジェクタ中の伝搬に関する3次元流体計算を行う。 「ガンマ線伝搬過程の研究推進方策」 相対論的ジェット伝搬計算の結果と、輻射輸送計算とを組み合わせることによって、ショートガンマ線バーストの放射の性質にダイナミクスがどのように反映されるかを精査する。また、様々な星周物質構造を用いてIIn型超新星のスペクトルを計算し、放射スペクトルの形状から爆発前の星の質量放出の履歴を推測できるようなモデルを構築する。また、時間発展する流体場上で輻射輸送計算ができるようにコード開発を行い、連星中性子星合体からの時系列のスペクトル計算を行う。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] High-entropy ejecta plumes in Cassiopeia A from neutrino-driven convection2021
Author(s)
Sato, T.; Maeda, K.; Nagataki, S.; Yoshida, T.; Grefenstette, B.; Williams, B. J.; Umeda, H.; Ono, M.; Hughes, J. P.,
-
Journal Title
Nature
Volume: 592
Pages: 537-540
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] On the Existence of the Plateau Emission in High-energy Gamma-Ray Burst Light Curves Observed by Fermi-LAT2021
Author(s)
Dainotti, M. G.; Omodei, N.; Srinivasaragavan, G. P.; Vianello, G.; Willingale, R.; O'Brien, P.; Nagataki, S.; Petrosian, V.; Nuygen, Z.; Hernandez, X.; Axelsson, M.; Bissaldi, E.; Longo, F.,
-
Journal Title
The Astrophysical Journal Supplement Series
Volume: 255
Pages: id.13, 14pp
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-