2019 Fiscal Year Annual Research Report
Deciphering the origin of supermassive black holes through the comprehensive study of multiple AGNs
Project/Area Number |
19H00697
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梅村 雅之 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 透 愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 教授 (00508450)
松田 有一 国立天文台, アルマプロジェクト, 助教 (20647268)
高橋 労太 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (40513453)
大内 正己 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40595716)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 巨大ブラックホール / 活動銀河核 |
Outline of Annual Research Achievements |
多重AGNは,超巨大ブラックホール形成の謎を解く鍵を握っている。本研究は,これまで実現しえなかった詳細な理論シミュレーションと,急速に発展する観測能力を組み合わせて,多重AGNをもつ原始銀河を統合アプローチにより調べ,超巨大ブラックホールの起源を明らかにすることを目的とする。理論では,最新の一般相対論的輻射磁気流体コードを用いて,AGNブラックホール降着円盤の精密な理論モデルを構築し,エネルギースペクトルに関する詳細な解析を行う。観測では,新たな狭帯域(NB)フィルターを製作し,既に利用可能なNBフィルターと合わせて, Lya, CIV, HeII輝線のコンビネーション観測と,連結NBフィルターによる線幅の広い1型AGNの観測を行い,赤方偏移2~3における多重AGNの候補カタログを作成する。そして,AGNと母銀河および周辺環境の多波長観測を行い,これを理論シミュレーションと突き合わせることで,多重AGNと銀河の共進化過程を探究する。2019年度は,すばる望遠鏡主焦点超広視野カメラ(HSC)用狭帯域フィルターNB506の仕様を策定し,競争入札を行った結果,朝日分光が落札し,NB506フィルターを製作した。完成したフィルターについて,検査を行った結果,基盤仕様,透過特性仕様ともに仕様を高い精度で満たしていることを確認した。また, 一般相対論的輻射輸送を完全に解くことが出来るARTISTコード(開発済)を一般相対論的磁気流体コード(開発済)に結合し,一般相対論的輻射磁気流体コードを開発するため,ARTISTコードの3次元化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,新たに開発した高精度シミュレーション・コードを用いた理論計算と,多重AGNと母銀河およびその周辺環境の多波長観測を突き合わせた統合研究により,マゴリアン関係成立のプロセスを紐解き,超巨大ブラックホールの起源を明らかにすることである。2019年度は,一般相対論的輻射磁気流体コードを開発するため,一般相対論的輻射輸送を完全に解くことが出来るARTISTコードの3次元化を行った。観測については,すばる望遠鏡主焦点超広視野カメラ(HSC)用狭帯域フィルターNB506を開発した。これにより,Lya/CIV/HeIIのコンビネーションで観測できる赤方偏移が連続的につながることとなった。また, NB497/NB506/NB515(NB527)を並べることでz=3.1-3.3の20,000km/s以上の線幅をもつLya輝線も漏らさず検出することができる。z=2.1-2.3については,NB387/NB395/NB400 を並べることでLya輝線検出が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
理論計画として,今後は,一般相対論的輻射輸送を完全に解くことが出来るARTISTコードの3次元拡張版を一般相対論的磁気流体コードに組み込んで,一般相対論的輻射磁気流体コードを開発する。これを用いて,ブラックホールへの超エディントン降着,亜エディントン降着についてシミュレーションを行い,これまでにない精密降着円盤モデルを構築する。観測計画は,新たに開発したすばる望遠鏡主焦点超広視野カメラ(HSC)用狭帯域フィルターNB506を用いて,赤方偏移2~3における多重AGNの狭帯域(NB)フィルターを用いた広域サーベイを実施し,検出された多重AGN候補天体に対し面分光装置を使った分光追観測を行う。さらに,多重AGNの周辺環境や母銀河に対し,X線,可視・赤外,電波・サブミリ波の多波長観測を実施する。AGN検出確率を上げるために本計画では,(1) Lya輝線に加えてAGNに特徴的なCIV, HeII輝線のコンビネーションを使う,(2) 狭帯域(NB)フィルターを並べて1型AGNに特徴的な速度幅の広い輝線を捉える,という2つの戦略を遂行する。具体的には,狭帯域(NB)フィルターNB506を用いて,すばる/HSCによる Lya/CIV/HeIIのコンビネーションの観測を実施する。また, NB497/NB506/NB515(NB527)を並べることでz=3.1-3.3の20,000km/s以上の線幅をもつLya輝線を漏らさず検出する。そして,z=2.1-2.3については,NB387/NB395/NB400 を並べることでLya輝線の検出が可能となる。
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Research Products
(2 results)