2019 Fiscal Year Annual Research Report
火山直下のマグマの状態と将来を知る方法の提案:粘弾性測定と浸透流・破砕の実験
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19H00721
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
並木 敦子 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 准教授 (20450653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 聡 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40532213)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マグマ / 気泡 / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は5年間で溶融マグマの粘弾性測定、浸透率その場測定、破砕実験を行う。このうち、溶融マグマの粘弾性測定は高温で溶融し、低い粘性率をもつ玄武岩質マグマと低温で溶融し高い粘性率をもつシリシックマグマについて期間を前半・後半にわけて行う。どの研究も装置と手法の開発から始める必要があり、計画の初年度にあたる2019年度は主に装置開発に時間を費やした。 1)玄武岩質マグマの粘弾性測定については、様々な方法を検討した結果、現在研究代表者が所有しているレオメータの軸をアルミナの棒に変更して延長し、その先に1200℃まで昇温可能な炉を置くこととした。この炉の中にルツボを設置しサンプルを溶融させ粘弾性を測定する。ここで、炉がレオメータに近接する為、遮熱する必要がある。2019年度はレオメータの近傍に設置できる小型の炉の選定、その中に設置できるルツボと台座の改良及び、炉とレオメータの間の遮熱の方法の開発を行った。 2)浸透率測定装置についても同様に、高温で加圧し、その状態で水を流してリークしない試験機の設計に時間がかかった。設計した試験機を発注し、年度末までに納品された。 3)破砕の実験については、1000℃近い高温下で棒状に伸ばしたサンプルを引張試験機で伸長し、破砕させるシステムを構築した。この時、破砕の様子を高速度カメラで撮影する為のレンズ系と照明について検討を重ね、撮影方法の目途が立った。一方、破砕について野外観察に基づいた新たなメカニズムを提案した。 4)シリシックマグマの粘弾性測定については鉛直方向に振幅荷重をかけ測定する方法を採用する事に決まった。しかし、一般に使用されているピエゾ素子では振幅が小さく、その駆動部分について更なる検討が必要である事がわかった。予算の関係もあり、翌年度以降の検討課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
玄武岩質マグマの粘弾性を測定するのに必要な炉を予算内で選定する事に時間がかかり、当初の計画よりもやや遅れている。その他の課題についてはほぼ予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020度以降は2019年度に導入した装置が当初の予定の性能を発揮できるよう、サンプルに近い部分の開発・改良が必要になる。1)玄武岩質マグマの粘弾性測定については、アルミナの棒の軸の偏心を極力抑えてデータの精度を上げる為の改良を行う。2)浸透流実験については、サンプルを封入するカプセルの開発が当面の課題である。3)破砕の実験は可視化の改良が必要である。4)シリシックマグマの粘弾性測定については振幅荷重を加える駆動部分について検討する。
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Research Products
(6 results)