2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Science of Multimaterial AM
Project/Area Number |
19H00737
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新野 俊樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70291929)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | レーザー焼結 / Laser Direct Structuring / Additive Manufacturing / 3D プリンティング / 活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ほとんどの市販レーザー焼結装置が搭載する炭酸ガスレーザーで活性化が可能になれば,市販装置のソフトウェアを変更するだけでマルチマテリアルAMが実現できるようになり,当該技術の実用化がより容易なものとなる.これまでの予備的な試験で,遠赤外線による活性化は可能であるが,樹脂が溶けることにより金属パターンが流されるなどの不具合が発生することや,活性炭が還元助剤として有効であることがわかっている.本研究では,遠赤外線による活性化プロセスを精査し,造形物側面や裏面の活性化の可否を調査することとした.本研究では,高強度の赤外線照射により,樹脂が分解,生成した分解ガスが添加剤である酸化金属を還元することによって金属核が生成することが,活性化プロセスの基本的現象であることを見いだした.さらに,分解を生じる条件として,樹脂の照射強度が支配的なパラメーターである事を見いだした.また,活性化時の溶融状態を高速度カメラにより観察したところ,分解が生じている周辺は必ず溶融が生じていることが観察された.これは,遠赤外領域の波長をゆうする炭酸ガスレーザーが,樹脂そのものを過熱することに起因しており,このような溶融状態はさけることができず,結果として,炭酸がスレーザーによる側面や裏面の活性化が原理的に不可能であることが示された. 前述した様に,分解の条件を明確したことにより,溶融時の最高温度を限界まで高める事が可能になり,Poly-ether-eather-keton等の高融点樹脂でも,活性化を避けつつ,溶融時の粘度を極限まで低減し,高密度な造形物を造形可能なことが示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭酸ガスレーザーによる,造形と活性化の実現が産業に及ぼすインパクトは,極めて大きい.本研究では,その実現に至ることはなかったが,原理的に不可能であることが証明されたことは,意義深い知見である. 樹脂の分解の条件が明確にされたことは,様々な樹脂の造形を可能にする知見であり,マルチマテリアルAMに関わらず,樹脂のAMにおいて有益な情報を与えた.
|
Strategy for Future Research Activity |
炭酸ガスレーザーによる,側面の活性化ができないことが分かったため,今後は,一般的にはLDSの活性化に用いられる近赤外レーザー(ファイバーレーザー等)による,活性化を抑制した造形の実現を目指す.
|
Research Products
(31 results)