2019 Fiscal Year Annual Research Report
Si-Ge系スーパーアトムの内部ポテンシャル変調による量子機能材料創成
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19H00762
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牧原 克典 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90553561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 晃生 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10553620)
洗平 昌晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20537427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スーパーアトム / 量子ドット / 発光デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、Si/Geスーパーアトム構造において、Geの選択成長温度が室温発光へ及ぼす影響を調べるとともに、Geコア内へのBデルタドーピングがPL特性に及ぼす影響を評価した。 具体的には、n-Si(100)基板上に膜厚~3nmの酸化膜を形成し、pure-SiH4を用いたLPCVDによりSi量子ドットを高密度・一括形成した。続いて、H2希釈5%GeH4のLPCVDによりSi量子ドット上にGeを選択的に成長した。このとき、基板温度は450℃および500℃とし、ドット平均高さが~6-7nmとなるように成長時間を制御した。その後、H2希釈5%SiH4のLPCVDを用いた選択成長により、580℃でGeをSiで被覆することでGeコアSi量子ドットを形成した。形成した試料の室温PLを測定した結果、Geコアの成長温度に依らず、波長1700nm付近にGeコア中の量子化準位を介したブロード発光が認められるが、450℃でGeを選択成長した場合の発光強度は、500℃で成長したGeコアSi量子ドットに比べ、約1桁高いことが分かった。各々の試料のラマン散乱スペクトルを測定した結果、500℃でGeコアを形成した場合には、僅かながらSi-Geに起因するピークが認められるものの、450℃のGeコアでは殆ど認められなかった。これらの結果は、Geを低温で選択成長することで、下地Si量子ドットとGeコア界面のミキシングが抑制され、極めて組成急峻且つ低欠陥密度な界面が得られたことで、Geコア中での発光再結合レートが増大したとして解釈できる。また、Geコア形成時に1%He希釈B2H6ガスをパルス導入することでB添加を行った場合、PL強度が真正ドットに比べ1.4倍に増大することが分かった。これは、Geコアの深いポテンシャル井戸に閉じ込められた正孔数の増加により、発光再結合レートが増大した結果として解釈できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Si-Ge系スーパーアトム(コア/シェル量子ドット)において、電子および正孔の波動関数制御技術を確立し、均質ナノドットにない固有の物性・機能の実現による高効率キャリア再結合を実現するSi系エレクトロルミネッセンス材料の創成を目的としている。初年度では、高効率キャリア再結合を実現可能とする不純物添加や各プロセスを精査することで、発光強度の増大を実現しており、当初の予定通り進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Geコア/Siシェル量子ドットの高密度形成と高効率発光素子の開発とともに、キャリアダイナミックスと光学特性に対する電界効果評価を実施する。具体的には、Geコアサイズ、Siシェル厚みを変化させた試料を作成し、コア/シェル界面のミキシング、歪、電子状態を評価し、発光特性に及ぼす影響を明らかにする。また、Geコア/Siシェル量子ドットを活性層とするダイオード構造を設計・作製し、電界印加が発光特性に与える効果を明らかにする。ダイオード構造においては、GeコアSi量子ドットの上部に厚い酸化膜層を形成して、その上部に形成した電極層とドット間でのキャリアの注入・放出を抑制した試料において、正負バイアスの連続パルス印加によって基板側からドットへ電子・正孔を交互に注入したときの発光特性を評価する。さらには、これらの実験と並行して「第一原理計算によるナノ構造界面の物性予測」の観点からGeコアSi量子ドットを探求し、得られる知見を体系的に整理・統合することで新たな概念に基づくSi系エレクトロルミネッセンス材料を創成する。
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