2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of millennium inundation of flood water and debris from the viewpoint of time-related disaster prevention study integrated by geotechnical history and disaster tradition
Project/Area Number |
19H00785
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 素之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00304494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 岳志 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (00452839)
楮原 京子 山口大学, 教育学部, 准教授 (10510232)
川島 尚宗 島根大学, 法文学部, 客員研究員 (10650674)
長井 正彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20401309)
赤松 良久 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30448584)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土砂洪水氾濫 / 年代測定 / サンプリング / リモートセンシング / 地盤履歴 / リスク評価 / 歴史資料 / 遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年西日本豪雨において被害が発生した山口県東部を流れる島田川沿いにおいて洪水氾濫堆積物の存在が窺える現場を見つけたことから、その場所でジオスライサー調査を実施した。また、西日本豪雨で土砂洪水氾濫が起こった広島県坂町・総頭川、令和元年10月の台風第19号による大雨で土砂洪水氾濫が発生した宮城県伊具郡丸森町・阿武隈川支川、2017年7月に水害が発生した秋田県・雄物川流域においてジオスライサー調査を実施した。調査ではジオスライサーによって地層を剥ぎ取り、現場にて洪水堆積物(シルト以下の粒径の土粒子で構成)、土砂洪水氾濫堆積物(細粒な砂分で構成)の土層区分を行い、各層の走向・傾斜、厚さ、粒度組成、密度、含水比等を調べた。また、堆積物中に含まれる炭化物を抽出・採集し、放射性炭素年代測定を実施した。得られた年代値は年表にまとめるとともに、歴史アーカイブと照合し、豪雨災害イベントとの整合性を検証した。また,アンケート調査を実施した雄物川沿いの強首地区では洪水頻発地域であるが故に,住民の防災に対する意識が極めて高いことが確認できた。この他に、広島県内遺跡地図の整備を進め、GISに利用できる方法を確認し、一部地域のデータをshpファイルへ変換する作業を完了した。また、山口県内において土石流が河川や鉄道に流れ込み複合災害の発生する可能性のある箇所を抽出した。また、岩国駅から徳山駅間の山陽本線、岩徳線、錦川清流線における複合災害が発生する可能性が高い箇所において土石流シミュレーションを実施し、線路への土砂堆積厚を指標とした複合災害発生ポテンシャルマップを作成した。そのほか、広島県で発生した2018年豪雨災害(呉市)を対象にSARデータ(ALOS、ALOS-2、Sentinel-1)の観測リストを構築し、呉市を対象に干渉SAR解析(InSAR)を実施し、被災箇所の検出を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度、近年の各被災地においてジオスライサーによる地盤履歴調査を精力的に行い、研究が大きく進展した。成果としては、土砂洪水氾濫堆積物を採取し、物理試験結果を行ったところ、土砂洪水氾濫堆積物は、想定以上に、土石流堆積物よりも小さい粒径の土粒子を多く含むことを突き止めた。そこで、測定・解析性能を向上したデジタルマイクロスコープを早期に導入して、2020年度以降の実施を計画していた土砂洪水氾濫堆積物の観察及び画像解析を先行して着手した。以上の理由により、上記(1)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
各地においてジオスライサーによる地盤履歴調査を継続実施するとともに、一部は調査範囲を拡大させ、かつ、斜面崩壊履歴にもスポットを当てて研究を進める。採取した試料に対しては放射性炭素年代測定法等による堆積層解析を実施し、各堆積層の時・空間分布、層相の物理・化学的性質等を調べる。2019年度に進展があった土砂洪水氾濫堆積物のマイクロスコープによる鏡下観察と画像解析を本格的に進め、土石流及び洪水の各堆積物との対比により、土砂洪水氾濫堆積物の特性を明らかにし、その認定基準を定める。 調査箇所のGIS解析を実施し、土砂洪水氾濫の発生場の地質・地形条件を検討する。その解析結果は治水地形分類図、土地条件図、地すべり地形分布図と比較・検討し、ハザードマップへ反映させる方法を検討する。 災害記録がある他の地区の住民に対して既往災害に関するアンケート調査を行い、災害記憶のアーカイブ化と災害記憶の風化メカニズムについて検討を進める。 広島県内の土砂災害発生地域について、遺跡地図をGISで利用できる状態に整備する。遺跡情報の更新もできるかぎり行い、時期を特定する。土砂災害発生箇所と遺跡との位置的な重複状況を把握し、その特徴と歴史的変遷から、先人たちの災害への対応と今後の防災について考察する。 ジオスライサー調査で得られた堆積物の層厚・密度や粒度組成と土石流・洪水氾濫解析の数値シミュレーション結果を比較することにより、土砂洪水氾濫発生時の流速、流向、流量、影響範囲の推定について検討する。 SARデータ(ALOS, ALOS-2, Sentinel-1)を利用し、差分干渉SAR解析(DInSAR)を試みる。災害前後での変化抽出だけでなく、発災前に対象地域で変化が起こっているか衛星データで検知する手法について検討する。
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Research Products
(9 results)