2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on thermal comfort evaluation method considering diversity
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19H00797
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田邉 新一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30188362)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 温熱環境 / 熱的快適性 / 人体熱モデル / 生理量 / 心理量 / 発汗サーマルマネキン / 波長特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人体を取り巻く様々な温熱環境に対する温熱快適性評価や健康性評価を行うことを目的としており、2021年度は主に以下の3課題に取り組んだ。 1)個人属性を考慮した代謝量推定手法の開発:年齢、性別、人種などによる体組成の個人差に関する文献調査を行い、体温調節モデルJOS-3において個人属性に応じた代謝量の入力が可能となった。本手法を用いることで、従来の基準値(ISO8996)と比較して代謝量の推定精度が向上し、個人属性を考慮した全身温冷感の推定が可能となった。また、JOS-3に関してはカリフォルニア大学バークレー校と共同してComfort modelsのライブラリに追加が行われた。海外研究者からの引用が行われるようになった。 2)皮膚モデルの開発:日射環境下における詳細な生理量・心理量を推定するために、波長別に皮膚温熱感を予測する新たな皮膚モデル構築し、2020年度に実施した異なる波長帯域放射を手背に照射する被験者実験を再現した。その結果、被験者実験の結果と概ね一致し、遠赤外放射が近赤外放射と比較して皮膚により強い温熱感を与えることを人体の生理学的メカニズムの観点から定量的に示した。さらに、皮膚モデルを様々な温熱環境や手背以外の部位へも適用するために、実験条件を拡張し、更なる被験者実験を行った。皮膚モデルおよび被験者実験に関しては、国際雑誌への投稿を準備している。 3)半屋外環境での被験者実験:非定常環境下におけるTATシミュレータの応用を目的として、様々な半屋外環境で被験者30名を対象に実験を行った。本実験で詳細に得られた半屋外環境の物理量および人体の生理量・心理量測定データは、非定常環境下におけるTATシミュレータの予測精度検証および改良に寄与する。新型コロナウイルス感染症環境下で被験者実験の実施が難しい中、検証が可能なデータを取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間の研究計画において、研究前半の2年間は主にモデルの条件整理や被験者実験などを行い、後半の2年間はシミュレータの開発や応用を行う予定であった。 モデルの条件整理については、年齢、性別、人種などによる体組成の個人差に関する文献調査を行い、代謝量の入力条件を整理した。さらに、体温調節モデルJOS-3におい個人属性に応じた代謝量および全身温冷感の推定が可能となった。被験者実験に関しては、非定常環境である半屋外環境において被験者30名を対象に実験を行い、詳細な人体の生理量および心理量のデータを測定した。さらに、皮膚モデルの適用範囲拡張のために、昨年度より実験条件を拡張した被験者実験を行った。新型コロナウイルス感染症のため被験者実験の遂行に関しては制約があるが、多くの実験を行うことができた。そのため、前半2年で行うモデルの条件整理や被験者実験に関する研究遂行状況は順調である。 後半の2年で行うシミュレータの開発や応用については、着衣の吸放出モデルの開発は未だ至っていないが、昨年度の開発した体温調節モデルJOS-3との連携が可能な、皮膚温熱感を予測する皮膚モデルを開発した。また、非定常環境下におけるJOS-3の応用のために、半屋外環境で取得した実測値とシミュレータの予測値を比較し、予測精度検証および改良の検討を行っている。昨年度に引き続き、実務での応用も想定した3DCAD上でのシミュレータの連成検討も進んでいる。これら今年度の研究成果は、国際雑誌(Building and Environment)への掲載を1件、学会(国際学会、日本建築学会、空気調和衛生工学会大会)での発表を10件行った。JOS-3のプログラムはカリフォルニア大学バークレー校と共同でモデルのライブラリとして公開した。したがって、現在までの総合的な研究の進捗状況として、(2)おおむね順調に進展しているという評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、体温調節モデルを基盤としたTATシミュレータの開発および応用を目指し、以下の2課題を中心に研究を進める。 1)新たな温熱快適性シミュレータ(TAT)の開発:体温調節モデルJOS-3を基盤としながら、着衣モデル・皮膚モデルと連携することで、温冷感・快不快感予測、血圧予測、熱中症予測手法の確立を行う。Pythonを用いたプログラム開発により統合した、「温熱快適性・健康性評価数値シミュレータ(TAT)」を開発する。さらに、実務での使用も念頭に置き、3D-CAD上においてTATシミュレータを用いる環境を構築し、人体生理量に基づいた温熱快適性・健康性評価を設計へフィードバックする手法に関しても検討を行う。 2)非定常環境におけるTATシミュレータの応用:昨年度の被験者実験により得られた物理環境測定データおよび人体生理量・心理量測定データを基に、個人属性を考慮した非定常環境下でのTATシミュレータの予測精度検証および改良を行う。不足しているデータについては、非定常環境での更なる被験者実験を実施する予定である。その後TATシミュレータを用い、屋外日射環境や非居室空間、寝床内環境など様々な非定常環境を再現することで、複雑な温熱環境における多様性を考慮したシミュレータの活用について検討を行う。 また、本研究に協力していた大学院生が博士研究員としてカリフォルニア大学バークレー校に2年間滞在することになり、さらに国際的な研究を展開する予定である。
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Research Products
(13 results)