2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on the role of ocean waves in sea ice structuring from formation to break up stages
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19H00801
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早稲田 卓爾 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30376488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松沢 孝俊 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (00443242)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海氷波浪相互作用 / 氷海水槽実験 / マージナルアイスゾーン / 氷盤フラクタル / 波浪方向スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
結氷・融解過程を支配する氷縁域では、波浪と海氷が活発に相互作用し、氷盤分布をはじめとして波浪が海氷の構造に重要な役割を果たす。しかし、力学的な波浪海氷相互作用の詳細は未だ解明されていない。そこで本研究では、氷縁域における、海氷の形成と崩壊、海氷下の波浪の伝搬減衰に関する、波浪海氷相互作用機構を解明し、モデル化することを目的とする。そのために、1)氷板の形成と崩壊の水槽実験を繰り返し、波浪と海氷の相互作用、様々な形態の海氷下の波浪の伝搬・減衰(散乱/摩擦)過程、海氷分布の形成過程を解明する。次に2)観測により海氷・波浪統計量を取得し、1),2)により解明されたプロセスと知見から3)氷盤物性・形状分布と分散関係・減衰係数、氷盤形状統計分布・波浪方向スペクトルのデータベースを構築する。それらをモデル化し、4)位相解像波浪モデルを利用したサブグリッドスケールモデル化を行う。観測はオホーツク海、北極海及び南極海にてステレオカメラにより行う。 初年度は、関連プロジェクトで構築した小型の氷海波浪水槽に造波システムを実装し、模型氷政策の準備を開始した。淡水を用いた予備実験では、製氷された氷盤の波による破壊を観察した。観測船によるステレオカメラ計測は、北極海・オホーツク海にて実施し、膨大な画像データを取得した。また、ステレオカメラ画像と位相解像モデルを同化するシステムの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた大型氷海水槽における実験は、実験所の整備計画の都合により研究期間内での実施が困難となった。代わりに、関連研究プロジェクトにて東京大学柏キャンパス構内に構築した氷海水槽を用いて研究を遂行することとし、新たに造波機を購入した。実験回数の増加が見込まれるため、この実験方法の転換により研究はむしろ加速することが期待される。これまでに淡水で形成された薄氷盤の波浪による崩壊の予備実験に成功している。 1)氷海水槽実験:関連プロジェクトにて構築した氷海水槽は、全長8m、幅1.5m、水深60㎝で、室温マイナス15度まで低下できるプレハブ冷凍室内に設置されている。本研究にて、周期0.5~2.0s、ストローク±150㎜のプランジャー式造波機を導入した。造波は任意時系列入力にて可能で、造波信号を作成するパソコンシステムを構築した。 2)海氷・波浪観測:2019年10月に実施した海洋地球研究船みらいの北極海航海でステレオカメラ計測を実施した。同じ計測システムは、2020年2月に実施した巡視船そうやにおけるオホーツク海航海でも使用した。また、ステレオ解析データを位相解像モデルに同化する解析手法を開発した。画像解析から海氷密接度の推定を行い、サブグリッドスケールでのばらつきについて定量的な評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)氷海水槽実験: 波浪による海氷の形成と破壊、海氷下での波浪の伝搬・減衰(散乱/摩擦)特性解明のための基礎実験を行う。整備した造波機により、代表波高・波長を制御変数として、規則波、変調不安定波列(波群)、不規則波と徐々にスペクトル幅を増大する造波信号を準備する。また、不凍溶剤(ポリプロピレングリコール)の濃度を変えた模型氷(Columnarタイプ)の氷厚と強度を制御する製氷方法を確立する。各種計測装置を準備し、板氷の破壊、波浪下での海氷形成、海氷下波浪伝播と減衰、海氷下流れ場の形成を計測する実験を行う。 2)海氷・波浪観測: 2020年10月に予定されている海洋地球研究船みらいの北極海航海でステレオカメラ計測を実施する予定である。同時に、波浪観測ブイを展開し、ステレオ解析画像からの推定波高の検証を行う。 3)波浪・海氷サブグリッドスケールモデリング: ポテンシャル理論に基づく位相解像波浪モデルに海氷の慣性力、弾性力、減衰は圧力場として導入し、Sub-Grid model for Wave Propagation and Attenuationの開発を開始する。既存の海氷分布に対する波浪の伝搬・減衰特性の計算を行う。また、物理過程を再現する数値流体力学モデルの導入も検討する。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] Directional soliton and breather beams2019
Author(s)
Chabchoub Amin、Mozumi Kento、Hoffmann Norbert、Babanin Alexander V.、Toffoli Alessandro、Steer James N.、van den Bremer Ton S.、Akhmediev Nail、Onorato Miguel、Waseda Takuji
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 116
Pages: 9759~9763
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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