2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of novel ionics devices by synergetic design of Na-conducting poly-anion compounds
Project/Area Number |
19H00828
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 克郎 九州大学, 工学研究院, 教授 (90397034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 丈二 名古屋大学, 工学研究院, 特任准教授 (60726412)
梶原 浩一 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (90293927)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポリアニオン化合物 / ナトリウム / セラミックス / ガラス / 界面 / 全固体電池 / 空気電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
可動のNa+イオンを内包する固体金属ポリアニオン化合物を自在に変換・複合化する事による機能性発現の新領域開拓と基盤確立を目指し、「Na故にとは何か、どこまでが可能か?」を問う。Naを含む金属ポリアニオン化合物を自在に変換・複合化させ、Na+イオンの高速拡散と吸蔵能を設計、理解するための基盤を確立する事を目指す。 より具体的には、下記の副課題を設定していて、うち、1)-5)について予備的研究段階のものも含めて実施する事ができた。1) 固体電解質との組み合わせで、超高電位・低電位での酸化還元を示す物質の発掘、2)易ガラス形成能とガラス-結晶質の変換を利用した新しい構造形成プロセス、3)多孔体等と組み合わせによる人工的な混合伝導、電荷貯蔵界面の形成、4)ガラス系の焼結助剤などによる、良導電性粒界の構築のための検証、5)全ポリアニオン化物固体二次電池の実現と、その性能向上のための鍵となる知見と技術の確立、および、6)全固体電池の形態を活用し、新機軸を持つ空気電池の実現に展開する。 1)に関連して、金属ナトリウムとナシコン固体電解質の低い界面抵抗について検証を行った。また、新活物質候補物質、負極としても有力なハードカーボン粒子の検討に関しても成果を得た。3)に関連して、多孔質カーボンモノリスの作製と評価について成果を得ているほか、逆のアプローチも鋭意進行中である。2)と5)に関連して、ナシコン系電解質と正極活物質の低温焼成とテープキャスティングによる厚膜焼成プロセスついて成果を得ており、これらの一体焼成による全固体電池構築へ展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体電解質との組み合わせで、超高電位・低電位での酸化還元を示す物質を発掘して、易ガラス形成能とガラス-結晶質の変換を利用した新しい構造形成プロセス、さらに、ガラス系の焼結助剤などによる、良導電性粒界の構築のための検証へつなげるための検討を当初計画に沿って進めている。ナシコン系活物質と電解質の低温焼成と共焼成について検討を進め、全ナシコン系全固体電池を試作しており、一定水準の電池特性を得られた。この成果の一部は、ポスター賞などの受賞によって高く評価されている。 論文発表を行った以外の新活物質候補物質についても検討を進めており、ポリアニオン系結晶で、高電位・高容量、焼成プロセスに関しても好適なより本格的な材料の検討へも進展している。易ガラス形成能とガラス-結晶質の変換を利用した新しい構造形成プロセスにも取り組むとしていたが、含Vナシコン系活物質でガラスセラミック法について検討を行い、成果を論文に取りまとめる段階であるほか、他の系への展開も鋭意進めている。多孔体等と組み合わせによる人工的な混合伝導、電荷貯蔵界面の形成のための、予備的な検討においても好適な結果が得られつつある。以上から、概して当初計画通り、もしくはより期待以上の進展状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも、本申請課題の全体目標に向かって進めてゆく。すなわち、結晶相の多様性、易ガラス形成能、化学安定性系を生かした特徴的な結晶質とガラス・非晶質の変換・共存を利用したプロセスを、引き続き検討する。また、複数相のインテグレーション、界面設計によるNa+イオン移動と貯蔵の制御をより明確化もしくは可視化しつ、電気化学的に制御可能な表面酸化・還元能を統合して、新規の全ポリアニオン系酸化物Naイオン二次電池や熱エネルギー回収などの新しい特徴を有する空気電池の実現に導くことに注力する。 易ガラス形成能とガラス-結晶質の変換を利用したプロセスにも継続して取り組み、令和2年度では、新たに複数の活物質および電解質での適用例の確立を目指す。多孔体等と組み合わせによる人工的な混合伝導、電荷貯蔵界面の形成に向けた取り組みも継続して取り組む。これらの副課題では、研究分担者と研究協力者との連携を密として効果的な実施を行う。電子顕微鏡をはじめとした高度な解析手法や、理論計算による解釈を交えて、基礎的な知見からの裏図家を行う。同時に、多孔質電極部位と電解質との接合により、新しいタイプの蓄電デバイスの実現につなげる。 全固体電池の形態を活用し、新機軸を持つ空気電池の実現に展開する副課題についても、令和2年度から準備を開始して、令和3-4年度中に本格的に実施する計画である。この課題については、令和2年度博士課程入学者が主に実験研究を担当する予定である。当該内定者と既に打ち合わせを進めている。
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