2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H00830
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀田 善治 九州工業大学, 大学院工学研究院, 特任教授 (20173643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 正道 九州大学, 工学研究院, 教授 (50311634)
村山 光宏 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (90354282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 巨大ひずみ加工 / 結晶粒超微細化 / 時効析出 / 圧力因子 / アルミニウム合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続き、溶解鋳造法で作製したAl-11.5%wt(5.2at%)Cu系金を6GPaの高圧下で溶体化処理した。650oCでは120分の保持でAl2Cuの初相は大部分が固溶した。溶体化温度を670oCに上昇した場合、40分後でも完全に固溶し、20oCほどの高温でも1/2以下の短時間で完全溶体化が実現された。一方、事前にHPS (High-Pressure Sliding)加工を施した試料では、650oCの溶体化処理で50分の保持時間で完全な溶体化状態が得られた。事前ひずみの導入は高圧下での拡散を速めることになり、固溶が促進された。本研究では、このように高圧下で完全に溶体化した試料にHPT (High-Pressure Torsion)加工を施した。なお、試料の直径が2mmであることから、同径の中心孔を有する直径10 mmの真鍮製円盤試料に埋め込みHPT加工用試料とした。10回転のHPT加工により、溶体化処理直後の147HVの硬度から227HVまで硬化した。さらに、80oCで時効することにより、硬度はさらに上昇し5分後に235HVの最高硬度に達した。 一方、純Al、純Mg、純Tiの粉末を原子比で等量 (1:1:1)混合し、HPT加工を室温にて最高1000回転まで施した。ひずみ量の導入に伴って硬度は一義的に増加し、100回転の試料では最高130HVまで、1000回転では最高210HVまで上昇した。100回転後の試料を300oCで1.5h熱処理したところ、硬度はさらに上昇し100回転の試料で約2倍の250HVに達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧下溶体化処理によるAl- 1.5%Cu合金での過飽和状態は、僅かな温度差で、また初期の組織の微細化度によって影響を受けることを確認した。これは、予測通りの結果で溶体化処理の迅速化に重要な知見となる。また、過飽和状態でHPT加工することにより硬度の上昇が確認され、これに続く時効処理でさらに硬化されることを確認した。一方、溶解鋳造法では作製困難な高濃度のMgやTiを含むAl-M-Tig系でもHPT加工で固化することができた。さらに熱処理により飛躍的に硬化できることが確認された。なお、組織や構造変化についてはコロナ禍の影響により十分な解析ができず、共同研究者に試料を郵送するなどの対策を取って対処している。 本研究では、Alに異なる量のMgを添加したAl-Mg合金をHPS加工し、添加量とともに電気伝導率や熱伝導率を測定する準備を進め、両測定は現在実施できる状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧下で過飽和固溶状態にしたAl-11.5%Cu合金にHPT加工を施して結晶粒の超微細化を図り、続いて時効を施す。これより引張試験を行って、強度や伸びがどこまで改善できるか調べる予定である。ただし、マルチアンビルで作製可能な試料サイズが小さいために、どのように引張特性を調べるかは現在検討中である。併せてHPS加工に伴う組織の微細化に対して電気伝導率や熱伝導率がどのように変化するかを調べる予定である。 一方、HPT加工により粉末合成したAl-Mg合金やAl-Mg-Ti合金では、電子顕微鏡による組織解析を行って、強度との関係を明らかにする。 関連の国内外の学会やシンポジウムに参加し、最新情報の取得にも努める。
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Research Products
(24 results)