2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19H00832
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栄長 泰明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00322066)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / 電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代電極材料として注目されている「ダイヤモンド電極」のもつ問題点を解決できる新しい電極材料の創製を目指す。ダイヤモンドの「sp3炭素による構造安定性」をはじめとする優位性は最大限生かし、これまでの限界を超えるブレイクスルーを起こす電極材料「革新的sp3機能電極材料」を開拓する。広い視野でさまざまな用途を意識するものの、特に「電気化学センサー」なかでも生体計測用途、ならびに「電解による物質合成」用途に向けた新機能電極創製に注力する。 本年度は、はじめに、sp3炭素であるダイヤモンド構造に、sp2炭素成分を不純物として含む炭素材料を、その濃度を制御して系統的に合成し、そのCO2還元特性に着目した。その結果、sp2炭素を含み、ホウ素濃度の低いダイヤモンド電極は従来のダイヤモンド電極とは異なる電極特性を示すことが見出された。これは、新たな応用展開に資する材料である可能性を示唆している。また、表面を化学修飾したsp3ダイヤモンドの電極により、インフルエンザウイルスの高感度計測に成功した。さらに、金属により表面修飾を行ったsp3ダイヤモンドの電極を創製することにより、触媒能を付与した新規電極として利用できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のsp3炭素からなるダイヤモンド電極にsp2炭素の不純物を混合させた材料や、表面修飾により高機能化したダイヤモンド電極の合成とその評価に成果を挙げた。次年度以降には、これらの電極のより詳細な機能評価に進むことができる見通しがたち、概ね予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度より検討を続けている、リンドープダイヤモンドや、ホウ素をドープした炭化ケイ素(SiC)電極、すなわち不純物ドープにより導電性を向上させた炭化ケイ素電極の創製に関し、その機能評価を行う。一方で、表面修飾や、不純物混合により高機能化したダイヤモンド電極についても、電気化学センサーへの応用や、CO2還元性能の評価などの機能評価を進める。
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