2020 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring of functional peptides from edible proteins and establishment of oral administration without activity loss
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19H00837
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70209328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 秋人 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40588266)
長岡 利 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50202221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ペプチド / 可食性タンパク質 / 探索 / 腸輸送 / 情報解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
可食性タンパク質由来のペプチドは20種類のアミノ酸からなり、他の生体分子では到底達成できない広い多様性と高機能をもつ。本研究では、5から10残基程度の中・長鎖の高機能ペプチドを可食性タンパク質配列から発見し、経口飲用で、機能保持したまま腸送達する方法の確立を目指す。このため、3つの課題、1)情報解析を用いた可食性タンパク質由来高機能・中長鎖ペプチドの探索、2)プロテアーゼ切断点特定および中長鎖ペプチドの分離濃縮法の確立、3)当該ペプチドの経口飲用摂取による腸送達法の開発、に取り組み、ペプチドの産業応用を目指す。本年度は特に課題1および課題2に焦点をあてて研究を進めた。課題1に関しては、高脂血症の治療効果が期待できるコレステロール吸収抑制ペプチドおよび糖尿病の治療効果が期待できる遊離脂肪酸受容体結合ペプチドに焦点を絞って探索を行った。遊離脂肪酸受容体は腸管上皮細胞に発現し、刺激を受けるとインクレチンGLP-1を分泌することで血糖値の安定化に寄与できる。コレステロール吸収抑制ペプチドはランダムライブラリーを評価し、アミノ酸配列の特徴から活性が高精度に推定できるモデル構築に成功した。遊離脂肪酸受容体結合ペプチドはファージディスプレイ法で高結合ペプチドの探索に成功した。さらに残基置換体で高活性な生理活性ペプチドの探索に成功した。課題2に関してはトリプシンを例に挙げ、切断部位の予測を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中長鎖の高機能ペプチドを可食性タンパク質配列から発見し、経口飲用で、機能保持したまま腸送達する方法の確立を目指す。課題1の「情報解析を用いた可食性タンパク質由来高機能ペプチドの探索」、および課題2の「プロテアーゼ切断点特定およびペプチド分離濃縮法の確立」に焦点をあてて研究した。 課題1に関して、コレステロール吸収抑制ペプチドを探索するため、4残基から7残基のランダムペプチドライブラリー(460種×4)を合成した。胆汁酸との結合実験のデータを使い、SVM、ランダムフォレスト(RF)、ロジスティック回帰(LR)の機械学習を比較したところ、どの残基数でもRFの推定精度が高く、4残基以外は90%以上の正答率を示した。次に脂肪酸受容体結合ペプチドを探索するため、遊離脂肪酸受容体を発現するHEK293細胞を作製し、GPCRの細胞内情報伝搬を再現するTGFα切断アッセイで評価する系を構築した。ファージディスプレイ法により、STTGTQの探索に成功し、1残基置換ペプチド115種類の活性データから残基置換体活性推定モデルを構築し、さらに高活性なペプチドSTKGTFを発見した。 課題2に関しては、ジペプチドを網羅した401残基のペプチド配列を設計し、4残基398種ペプチドを1セットとして、前後の配列の異なる401ペプチドの5セット、すなわち全1990種の4残基ペプチドをデザインした。これらのペプチドのN末端を蛍光色素ラベルしたライブラリーに対してトリプシン分解を行った。結果を、昨年構築したアミノ酸物性値、全532個の説明変数を使ってランダムフォレストで回帰分析したところ、予測精度は77%に達した。また実際に乳タンパク質5種類のトリプシン分解物をLC-MSで分析し切断点を決定したところ、予測部位の89%と一致し、プロテアーゼの切断部位を良好な精度で予測できることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き可食性タンパク質由来の生理活性ペプチドの探索を行う。高血圧に資する塩味増強ペプチドも候補にする。また、課題2-2:高温焼成シリカゲル担体を使って安全安価に特定のペプチドの選択的な分離濃縮についても検討し、可食性タンパク質由来ペプチドの産業応用に関する研究を進めていく。
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Research Products
(9 results)